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今月の言葉(8月)

永遠なるものを求めて

永遠に努力する人を菩薩という

―高田好胤 

 八月になると、生前、薬師寺の管長だった高田好胤さんの冒頭の説法を思い出す。
 六日の原爆忌、十五日の敗戦忌―。日本人には、歴史的な悲しい月。仏教では「祥月」といい、死者が死んだ月にあたる。言わば『日本の死んだ月』だともいえる。
 そして、私たちは、世界に原爆の悲惨さと戦争のおろかさを訴え、「世界平和」を希求し願った。人類最初の原爆被爆を体験した広島では、原爆慰霊碑には「過ちは繰り返しませぬから…」とまで碑文に刻まれている。
 しかし、あれから六十一年。地球上ではいまなお思想、宗教などの対立から争いが絶えない。また核拡散の危機から地球破滅、人類滅亡につながりかねない危惧も―。それだけに「ノーモア・戦争」「ノーモア・ヒロシマ」は、人類の永遠のテーマでもある。
 過日、私は『原爆の語り部』の友人に、高田好胤さんの言葉を伝えた。
 「あなたの弛まない活動ぶりは、まさに菩薩です。平和の菩薩です。敬服します」
 この人は、少年飛行兵出身。戦後、労働運動の活動をへて、反核、反戦を訴え、正月には『被爆者供養』のため、平和公園での慰霊碑に裸足行脚を。これまでにもハワイ、ワシントン、クウェートまで出かけて平和を訴えた実践家である。
 五月、八月に修学旅行をかねて平和学習にやってくる東京の女子中学生を対象に話す私の『原爆の語り部』とは違う、本格的なボランティアである。
 私は考えた。昭和ヒト桁生まれ、被爆当時は、中学三年生。原爆で父親を失い、私自身、入市被爆者。戦時下での体験をした一人として同じ世代の人たちと手をつなぎ、戦争を知らない若者たちに、思想、宗教を越えて戦争の悲劇と平和の大切さを訴える『平和の語り部』としての輪を広げたい。それが私たちの残された責務だと。
 平和は人類の永遠のテーマ。高田好胤さんの説いた言葉を改めて学び、広島から多くの『平和の菩薩』の誕生を。広島市基町の一角、銀色の平和観音像が炎暑のなか輝いている。

(風彦)