【監督】西川美和
【主演】オダギリ・ジョー 香川 照之
兄弟とひとりの女性。女性は兄弟の前で命を落としてしまう。殺人事件なのか事故なのか確信は得ることはできない。最後の場面も、もしかしたら弟の思い込みかもしれないのだ。しかしこの映画は謎解きのミステリーではない。離れたくても離れられない、でも一方で繋がっていたいのに手を伸ばしても届かない兄と弟の心の物語である。
映画には二人の父親と叔父というもう一組の兄弟も登場する。二組の兄弟は距離を離したり縮めたりしながら闘い続けている。家族のことは誰よりも分っていると思いたいが、完全な理解は難しい。しかし闘ってばかりかもしれないけれど、それでも家族はやはり特別な存在だ。兄弟を親身に心配する従業員が登場する。その言動は心温まるものであるのに、それに反発を見せる弟の姿に較べて薄く見えてしまうのは彼が家族ではないからだ。この兄弟は父親たちのようにこれからも衝突と抱擁を繰り返すことだろう。その時間すべてを、かけがえのないいとおしいものとして心の底に蓄積しながら。
(nao)