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国家の決断―7つの課題

縄文塾塾長 中村 忠之

縄文塾

クライン孝子 著  海竜社  定価1700円(税込)

奥中 正之 (寄稿)

 クライン孝子氏の新著「国家の決断 7つの課題」を読んだ。 日本を離れ、外国から母国を眺めたとき、世界常識の流れから孤立した異常な日本に気付く方が多い。

 筆者は冷戦時米ソ対決の最前線であったドイツに住み、且つ国際ジャーナリストとして情報の現場で体験された事実をベースに語られているので説得力があり、「目から鱗が落ちる」思いである。文章表現が簡潔平明で読みやすく、活字が大きいのも有難い。

 これを戦後の日本国憲法と教育基本法に起因するという。吉田茂に発する官僚出身政治家特に首相による現在の実利的政策が積み重なって次第に歪みを生じたとする。自虐的に謝罪は繰り返すが、日本の立場を相手に分かるように説明していない。ただ繰り返すことで丁寧な説明といっても信用はされない。そこには明瞭な国家観、歴史観のないただ場当たりのよいことを進めていることだという。最近の皇室典範改正問題、靖国参拝違憲判決など歴史の重みを考えない傲慢な考え方であるとしている。

 「目から鱗が落ちる」ことは多々ある、例示すれば、日本の政治家の多くは国家観を欠いているとの指摘には、全く同感である。と同時にそのような政治家を選ぶ国民が自らレベルアップする必要性を痛感させられる。

 また、ドイツは国際情勢の変化を機敏に捉え、その変化をすばやくチャンスとして、憲法を50回も変えている事実と、戦後60年間一回も憲法を改正せずにいる日本との差異が浮き彫りになる。第二次世界大戦の敗戦国であった日独、国家の意思決定機能を保持した状態で白旗を掲げた日本に対して、敵の軍事力によって国家権力が壊滅してしまったドイツという両者の決定的な違いがあった。

 しかし半世紀にわたる、彼我努力の違い、国際情勢の変化に機敏に対応する適応力の差が日独の現状に大きく現れている事を、この図書で改めて実感することとなる。特に国家安全保障面において、日独の差は約半世紀はついてしまったと筆者は慨嘆する。

 ドイツでは男性は18歳になったら「徴兵」の義務を負うということ、そして女性も武器を取って戦うことが可能としていること。これなどは「平和ボケ」した日本人には想像を絶する事実であろう。しかしこれが世界の常識なのであり、日本が異常なのだということを我々は認識しなければならない。

 著者が母国に向けられた深い愛情に応える国民が増えることが、「党利党略」や「私利私欲」よりも「国益」を考える政治家を生み出す原動力になると考える。国民が国政への前向きの姿勢を持たず、政治不信を募らせるだけでは、それがファシズムを生み出す土壌となる危険性がある。この点も著者が懸念されるところである。詳しくは是非この図書をお読み頂きたいと思います。