【監督】ベネット・ミラー
【主演】フィリップ・シーモア・ホフマン
ノンフィクション文学「冷血」執筆中の T・カポーティを描いているということで、その本を読んでから映画を見ることにした。虚構の犯罪小説とは異なる緊張感を持った文章は、関係者や犯人に執拗なまでに迫りながらもどこかで突き放しているような印象を受けた。
カポーティが殺人事件に関わった最初の理由はジャーナリストとしての興味だろう。彼をいかにも「余所者」として見る街で、近親者や担当保安官の取材を続けるうちに彼はついに犯人と接触することになる。二人組のうちの一人は、凶暴というよりは内省的な表情をした小柄な若者だった。彼に自分と同じ部分を感じると語ったカポーティであったが、それは果たしてそうだったのか。死刑前の犯人に見せる涙は、パーティで取巻き達に見せる笑顔と同種のものではないのか。そんな風に思えてしまう得体の知れないP.S.ホフマンの演技が忘れられない。殺人事件よりカポーティその人がミステリーである。
(nao)