一年前から、布団を止めベットで寝ることにした。箪笥もすぐそばに置き、手を伸ばせばなんでも取れるように便利にレイアウトをした。炬燵も止めて暖を
取るのはエアコンと電気ストーブ。灯油のストーブは面倒なのでとっくに止めた。一階の和室はフローリングに変え、ソファを置いた。すべてバリアフリーの我
が家!これでいつ車椅子の生活になろうと寝たきりになろうと大丈夫なのだが、思わぬ事が起こってきた。
畳から立ち上がるという動作を一年もしなくなると、股関節と膝の関節にガタがきた。はじめはただ単に運動不足だから膝が痛いのだろうと思っていたが、股
関節まで曲がりにくくなってきて、はたと気づいた。毎日の立ったり座ったり、布団を上げたり敷いたりの動作の積み重ねはたいしたものなのだ。バリアフ
リー、バリアフリーというが、人間の身体にとっては決して良くない。不便であったり、面倒である事がかえって体のためには良いこともあるのだ。車もそう
だ。左足の方が右足より筋力で劣るのは、きっとオートマのせいだ。
ケアマネをやっていた時、ケアプランの中に住宅改修や福祉用具貸与を組み入れた事があったが、あれは本当に適切だったのだろうかと今になって思う。段差
をなくしたり、ベットを入れることはかえって身体の機能を損なう。ヘルパーさんを入れて家事をやってもらう事は、掃除や買い物、調理に使っていた身体機能
や献立を考える等という頭を使うこともしなくなる可能性がある。
厚生労働省は、不適切な介護サービスは介護度を重くする、介護予防が必要なのだとしきりに言い、四月から介護予防サービスが始まった。生活形態を変える
ことにより、わが身に明らかに身体機能低下がおこり、やっとその真意が納得できた。けっして介護保険の費用を抑制する為だけに言っているだけではなく根拠
があるから言っているのだ。
益々便利な世の中になっていく。いまさら車をミッションに変えたり、炬燵を出したりと元の生活に戻るのは困難だが、現状を認識すれば、やれることはたくさん在るだろう。