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 原  宏 一 著
実業之日本社 発行

 小説のおもしろさのひとつに、この先この話がどう展開していくのかという、ワクワク感や期待感がある。そういう意味でこの物語は存分に 楽しませてくれる。
 富士の裾野に広がる青木ヶ原樹海。一度入り込むと二度と抜け出せないといわれているその奥地。人知れず自給自足の暮らしをしている老人 のもとに、3人の男女が迷い込む。最初のうちは縄文生活を楽しんでいたのだが、住み家にしている洞窟の奥に鉱脈を発見してから話がややこ しくなる。それぞれの思いが錯綜する中、老人の提案する「感謝と祈り」をテーマとした理想国家建設に進んでいくのだが…。
 途中で本を閉じても次が気になって仕方が無い。完全に物語に引き込まれているのである。こういう小説が読みたいと常々思う。一度入ると なかなか抜け出せない、樹海小説とでも呼ぼうか。 

(北)