先日サンダーバードに乗車して、新大阪から石川県七尾に行った。ちょうど能登半島は地震に見舞われた直後で知り合いの会社が被害はどうなのか心配だったが、壁にひびが入り、階段も亀裂が入っていたが、けが人もなく皆さん元気にお仕事をされていてひと安心だった。しかしその会社の前のお店は瓦が被害にあったようで、ところどころ瓦の葺き替えをされていた。
途中の車窓からは一軒だけ誰も住んでいないような古い家屋がつぶれているのが見えた。
新大阪から京都、福井、小松、金沢へ。金沢からは名倉温泉行きと富山行きに列車は切り離され、とたんに特急列車がガタンゴトンという音とともにスピードが落ちた。
車窓からは、掘り起こされ、田植えを待っている田んぼや、芽吹いたばかりの青々とした草に覆われた畑、黄色いラッパ水仙の群生、ふきのとうも見ることができた。
車窓ののんびりととした田園風景と懐かしいガタンゴトンという音に、久々にゆっくりとした列車の旅を味わった。昨年の春頃から世間の猛烈サラリーマンのように自分も新幹線で慌しく移動する機会が増えてきたが、新幹線での旅は全く旅をしているという感じがしない。ただ移動しているというだけだ。
昔学生の頃、リュックを背負い、広島から北海道まで各駅列車で行ったことがある。あの頃の旅は、いまでも鮮明に思い出すことができる。十和田湖・奥入瀬・青函連絡船・函館・積丹半島・利尻・・・札幌の駅前で食べたイカの刺身、積丹半島のウニ、ユースホステルでの他のグループの男の子達との出会い、すべてを記憶に刻みつけながら、身体中で味わった旅の感触だったのだろう。
懐かしく思い出すことの出来る記憶は、考えてみれば宝物のようなものだ。今となっては、もうあんな旅は望めないだろうが、いつか『青春18切符』を利用したのんびりとした旅をしてみたいものだ。
若者よ、家に閉じこもらないで貧乏旅行をしてみれば、きっとそれは記憶の中の大事な宝物になると思うよ。