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オテル モル

栗田有起 著
集英社 発行

 「オテル・ド・モル・ドルモン・ビアン」。そのオテル(ホテル)のフロントデスクの募集条件は、夜に強く、孤独癖があり、いらいらしないこと。一風変わった面接にも見事に合格した「本田希里」は、さっそく次の日から働くことになる。
 地下13階建て(?)のこのオテルは会員制契約型宿泊施設であり、日没から日の出までの滞在を原則とし、最高の眠りと最良の夢を提供することを目的とする、何とも不思議極まりない職場であった。さらに、希里の複雑な家庭環境が、この物語をいっそうややこしく(おもしろく)している。奇妙な感覚の中にユーモアがちりばめられ、ずっと読んでいたい気分にさせられる。春の陽気でねむたくてしかたないこの季節にぴったりのストーリーともいえる。
 言うなれば現代人の悩みの一つである「眠り」が最大のテーマであろう。毎日ぐっすりの人も、眠れなくて困っている人も、この本を読んでオテルを体験してみては? いい夢が見れるかも…。

(北)