防衛庁の談合事件から橋梁・汚水処理施設・国交省の水門施設官製談合、それに福島・和歌山・宮崎各県知事による談合3兄弟が一段落したと思ったら、マスコミの報道の過熱もなんのその、またまた名古屋地下鉄建設に最大手ゼネコンの談合疑惑が大きく浮上し、しかも高速道路建設問題にまで飛び火したようだ。
マスコミも国の関係筋も、ただ「談合は悪」と決めつける前に、「なぜかくも根強く談合が起きるのか」という根源から、見つめ直す努力を行わなければ、この問題は簡単に解決するものではないし、対応次第では。将来の禍根を残す重大事であることを同著は教えてくれる。
著者は「談合は古事記の時代から存在し、また卑弥呼も談合で選出された女王だった」のだという。八百万の神々が集まって、「天の岩戸」に隠れた天照大神をどのようにして出て貰うかを相談(談合)しているし、倭国が乱れに乱れた際、男の王では駄目だと言って女王に卑弥呼を選ぶのだ。
日本人はそうした相談事を議論(ディベート)と錯覚し、「論議を尽くした」と思いこんでいるが、これは厳しい論議・論戦を戦わす世界的風潮からはあまりに異質で、いい加減なものだといえるだろう。
(理屈で考えても)水と油である自民党と社民党が、連立政権を組む奇っ怪さ、そのために主義主張をねじ曲げても平然としている国柄の中で、「談合は悪」を云々する矛盾に気づかず、休刊日や購読料を談合で決め、他社を排除する記者クラブなど、いわば談合の産物を当然だとしているマスコミに、談合を語る資格はない。
著者はこうした日本的慣習にメスを入れ、世界に開かれた日本になるためには、もう「和を持って尊しとなす」から決別しなければならない」と説く。
たとえば、著者は「談合」体質のモデルとして、外国のスポーツ競技に見られない「物言い」とか「死に体」という判定など相撲の世界を挙げる。それでもこうした「日本の常識 世界の非常識」という社会構造下で、日本経済は世界で頂点に達することが出来た。ところがトップを目指して牽引車の役を果たしてきた官僚が、最先頭を走る中で、目標を見失ってしまっているのが現状である。
かつて世界最高のテクノクラートと呼ばれた日本の高級官僚は、今や日本の成長の足を引っ張る有害な存在に堕落したのである。「天下り」という「談合再就職システム」や「省あって国なし」という縦割りセクショナリズムからの脱却がなければ今後日本が世界中の厄介者になり果てることを著者は危惧する。
著者は「滅亡日本を防ぐ2つの手だて」として、まず談合の撲滅、それに官僚の罷免権を政府が持ち、確実に実行することだ、という。問題は談合の撲滅だが、最初は官僚の「天下り」の撤廃から入ればよいし、絶対に責任を取らない官僚を、過去に遡って罷免はおろか罪に問うというという、断固たる姿勢を示すことが喫緊の急務であろう。
付記:出来れば、筆者HP<キャッスルゲイト>より、下記拙稿『時事小論』の中の“談合は何故なくならないか?” (1~4)プラス番外編も、併せてお読み下さい。違う側面で「談合」に迫っています。