「ALL IN」激!
――M・ブラウン
待ちに待った『球春』の到来。センバツ高校野球からプロ野球の開幕である。なかんずくカープファンの思いは、いかばかりか。今年は黒田、新井の投打の大黒柱が抜けてのシーズンイン。彼らへの思いは、ファンそれぞれ違うだろう。黒田は別にしても、広島生まれ、広島育ち、カープで強打者に育った新井には格別な哀惜の情がある。私もその一人。知人の住職は今でも嘆き憤慨する。
「優勝を争うチームでプレーしたい」―何を言う。優勝を争うために必要なのは、選手自身の意識、能力、闘争心ではないか。一生懸命、応援してきたファンの心を裏切るものだ」
カープの合い言葉は、何だったのか。
「ALL IN」であった筈。もともとは自分の持っている全て(エネルギー、経験、能力)を勝つために注ぎ込むという、ブラウン監督の米国時代からのモットー。チームもフロントもファンもそして全ての人が一つの方向に向かう(球団広報資料)であった。
その意味から一昨年の黒田残留への署名運動は、『市民運動』にまで発展。黒田の心を繋ぎ止めたし、これまで頑なまで『干渉』を拒絶していたフロントもファンとの垣根を取り払って『市民運動』に理解を示す。「ALL IN」は赤ヘルのウェーブにまでなった。
しかし、ブラウン・カープは、二年連続Bクラスに低迷。黒田の米大リーグでの新天地を求めたことには理解できたものの、新井のFA宣言での阪神入りには、前述の住職ならずとも多くのカープファンの心情でもあった。
当初、私自身ブラウン野球は、従来の日本式野球を改革する「創造するベースボール」(練習内容、投手起用、打順の構成など詳しくは割愛する)として評価したが、ブラウンの意図は実らなかった。理由は一口で言えば、日本人の体質、思考に適合できなかったから。
ロッテのバレンタイン、日本ハムのヒルマンがそうであったように、彼らは苦悩した。三年、四年をかけ、日本式野球との融合をはかり、成功の道を求めた(野球と技術、戦術、指導体制など)。ブラウンは今年で三年目。
「石の上にも三年」―。もう一度、「ALL IN」。今年はこの言葉に「激!」がついた。監督もファンもフロントも激しく、あの創設期の「ALL IN」の原点に還ろう。ブラウンさん。日本にはよい言葉がある。「郷に入っては郷に従え」―。という例えもあるぞ。「創造野球を軌道修正してカープをV軌道へ」―。黒田、新井のことは忘れよう。三年目のブラウン監督に望みを託そう。
(風彦)