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今月の言葉(6月)

あなたは霊魂を信じますか?

  「不滅の霊魂は千の風になって」  ――風彦

 六月といえば、梅雨のシーズン。花でいえば、紫陽花の咲き競う季節。私には、この季節になると、忘れえぬ思い出がある。それは今から五十五年前の六月八日のこと。瀬戸内海の柱島沖で爆沈した戦艦「陸奥」の戦後初めての海上慰霊祭の取材だった。その日は、しとしとと降る梅雨。宇品港(現・広島港)から二隻の第六管区海上保安本部の巡視船に守られた御霊船とともに遺族を乗せた貸し切り客船で現地へ。(当日の詳細は割愛するが…)
 柱島近くになると、急に海が荒れ始めた。遺族の人たちも一様に悲しみと不安におののいた。爆沈現場では波頭がたち、停船した御霊船も、その遺族船も揺れた。今でも記憶に残るのは、戦艦「陸奥」の三好輝彦艦長の未亡人が、白いハンケチで顔を覆い嗚咽されていた。雨の中、慰霊祭の祭壇が整い、同行した神職の修祓の儀がはじまり、遺族から託された花、お酒、菓子などを三人の潜水夫が海底に供えて上がると、海面は、うそのように穏やかになった。そして、海底からは戦艦「陸奥」の艦首の、あの「菊のご紋章」が引き上げられた。私を含め参列者の涙を誘った。
 「陸奥」が爆沈したのは、昭和十八年(一九四三年)六月八日 十二時十分。原因はつまびらかにされていないが、一四七一人の乗員が一瞬に海に飲まれ込み、一一二一人が亡くなった。この惨事は、当時は極秘だった。その後、吉村昭の小説「陸奥爆沈」が話題になった。が、私は当時の慰霊祭の光景を一部始終見聞して以来、「霊魂」を信じるようになった。あの日の荒れた波は海底に眠っていた人たちの魂の叫びにちがいないと。
 台風シーズン、天気予報のテレビの画面で日本列島に向けて北上する台風の進路を見ながら思う。台風は、南海に散華した人たちの魂の「望郷の叫び」ではないだろうか。
 六月は、第三日曜日に、広島の原爆医療の恩人、ジュノー博士の功績を顕彰して「ジュノー記念祭」が開催される(※)。参列する広島少年合唱隊、広島のガールスカウトたちのこどもたちとともに、安芸郡府中町の中学生たちが吹奏楽演奏で亡くなった被爆者の霊を弔う。昨年は同中学生が新井満さんの「千の風になって」を合唱。参列者の共感を呼んだ。
「私のお墓の前で/泣かないでください/そこに私はいません/眠ってなんかいません/千の風に/千の風になって/あの大きな空を/吹きわたっています」(後略)
 宗教家のひろさちやさんは、「魂は千の風になりますか?」(幻冬社発行)の著書で、魂は一人ひとりの心の持ちかたにあるという。さて、皆さんは?

(風彦)

※「ジュノー記念祭」は毎年六月第二日曜日ですが、 今回は第三日曜日になります。