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雑感(6月)

代表取締役 田河内秀子

 先日、看護学校時代の友人が「暑いからビールを飲みにいこう!料理も美味しい所があるから」と電話をかけてきて、(彼女の誘いはいつも突然ですが・・・)、久しぶりに飲みに行きました。
 さんざん飲んでおしゃべりをして、その中での事です。「明日コンサートがあって、コンサートの主催者に頼まれてステージのバックの字『夢』を書いたけど大きな字を書くのは難しいものだね、コンサートのチケットが余っているから行かない?」との事で、『夢』の字も見たいしと、何のコンサートかもわからないまま、出かけました。
 それが、平岡麻衣子さんのユニバーサルコンサートでした。
 平岡麻衣子さんは、大阪音楽大を卒業し、将来を嘱望されウィーンの音楽大に留学中の二〇〇一年十月、階段から転落し四ヶ月間意識不明、意識が戻ってからも手足に重い障害と、記憶など高次脳障害を負われたそうです。本当につらいたいへんなリハビリの中で、車椅子に座れるようになり、左手が動くようになり、硬く固まっていた右手も開き始め、この日は杖で、お母様に後ろから支えられて登場されました。リハビリの様子など、テレビで放映された時の映像が流れましたが、この七年間のリハビリがどれほど過酷なものだったか…。
 演奏は、シューマンの「トロイメライ」、バッハの「プレリュード」、ショパンの「ノクターン」など十曲、バイオリンの上野眞樹さんや、ホルン奏者の藤咲真介さん、平岡さんを音楽面で支えてこられた音楽家の方々との共演もありましたが、一番感動したのは、ショパンの「ノクターン」。左手の指が優雅に演奏し、右手の指は一音一音を力強く響かせ、演奏されました。今までうまい演奏家のピアノ演奏も何度か聞きましたが、これほど音に魂を感じたのは初めてでした。
 彼女の言葉です。
『自分で限界だと思ったら、何もかもストップする』
 天使のような微笑と、たどたどしいけれど心のこもった言葉と、そして何より日に日に上達していく魂のピアノの音色。平岡麻衣子さん、来年の貴女に、再来年の貴女に会いたいです。