【監督】トッド・ヘインズ
【出演】ケイト・ブランシェット、ヒース・レジャー、リチャード・ギア、クリスチャン・ベイル、マーカス・カール・フランクリン、ベン・ウィショー
一人の人物を六人の俳優が演じていることが話題になっている。しかしボブ・ディランに関しては、この手法は極めて正しい。
ディランの“正史”についてはM.スコセッシ監督の『ノー・ディレクション・ホーム』に任せよう。例えばK.ブランシェットひとりがディランの半生を演じたらどうか。なんだか物理的に無理に思える。H.レジャー、彼には彼自身の人生を取り戻してあげたい。R.ギア、C.ベイル…彼らにもやはりひとりで演じきることはできない。それは俳優の力量のせいではない。だってボブ・ディランなのだから。六人でも足りないくらいだ。七人目のボブ・ディランは観るひとの頭の中。でも当人はきっと「私はそこになんかいないよ」と、そっぽを向いている。
(nao)