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雑感(7月)

代表取締役 田河内秀子

 又暑い夏がやってきた。七月は私にとって喪の季節。娘が七歳で亡くなったのも。孫が一歳で亡くなったのも、看護師として手術室に勤務していた折、夏休み中に治そうと蓄膿症の手術をした高校生の男の子が、思わぬ出血で亡くなったのも、すべて七月。人は生まれたからには必ず死ぬものだが、いかにも早い死は、受け入れ難いものだ。しかし、一歳は一年分のたくさんの驚きや喜び、七歳は七年分のたくさんの思い出を残してくれた。あの高校生のご両親は今どうされているだろうかと三十年以上たった今も時々思い出すが高校生になるまでに重ねた想い出をご夫婦で楽しく語らっていらっしゃればと願う。
 先月、毎年行うクラス会で宇治平等院を訪れた。平等院鳳凰堂は、約千年前の藤原頼道による建造物で、建築・彫刻・絵画・工芸が一体化し、さらにその周囲は、浄土庭園の遺構がひろがり、建築と庭園が融合したたぐい稀な遺跡で、世界遺産に登録されている。そのテーマは極楽往生を願う浄土信仰。鳳凰堂内部に描かれた各扉の来迎図には、看取るものと臨終者、仏様たちのお迎えの瞬間が、日常生活する場所や活動も含めて上品・中品・下品と生き方の格に応じて描かれている。
 「まさに平生の中にこそ死があり、そこに自然の中からの迎えがあり、そのこと自体が「ありのまま」=自然である」と『平安色彩美への旅』の中で神居文彰氏が述べられているが、死と極楽往生を表す鳳凰堂を、お財布の中に必ずある十円玉に刻むという発想をしたのは、一体どこの誰なんだろう?