« 雑感(8月) | メイン | 今月の写真 »

今月の言葉(8月)

勝って涙、負けて涙―

 ―涙の本質をみる―

            ―風彦 

 今年の八月は、スポーツの夏。北京五輪の開幕をはじめ、全国高校野球甲子園大会、インターハイの各種競技会がある。その日のために錬磨した技を競う。なかでも地球規模のスポーツイベントである五輪大会。しかも今回は共産圏で、市場経済下で経済発展をした中国での開催だけに、大いに注目される。
「スポーツには、国境はない」―。と言われながらも現実には、国威の昂揚の場。今回もその例にもれないだろう。選ばれたアスリートたちは、文字通り「スポーツ戦士」の意気込みで、その国のために競う。そこには歴然とした勝者と敗者の明暗が醸し出される。
―勝って涙、負けて涙ーである。
 先進国と後進国(開発途上国)とでは「涙の質」が違うだろうが,勝利の感激と敗者の悔しさを目の当たりにすると、第三者にも「涙の質」を越えて感動を呼ぶ。
 それはなにも五輪に限ったことではない。高校野球など、スポーツ競技の宿命でもある。
 先年、高校野球界の知将、蔦文也さん(故人=徳島 池田高校野球部監督)が、よく語った。
「鍛錬は千日の行。勝負は一瞬の行」ゆえに、日々の練習の積み重ねの結果により「涙の価値」が決まるとも説いた。
 哲学者であり、宗教学者、教育家の山折哲雄さんの著書「涙と日本人」(日本経済新聞社発行)は興味深い。その中で目を引いたのは、涙をめぐる国内外の哲学者、心理学者、俳人、茶人、演歌歌手、政治家、野球選手の引退の弁などさまざまな視点からエピソードを紹介。涙の本質を分析した内容だった。
「涙は清らかで美しい排泄物」の記述がある。(概要)「不思議なのは、体内のものが外部に排出されたとたんに、それが汚物になるが、汚物にならないものが、それは涙。涙には悲しみの涙に、喜びの涙もある。どの涙もときに清らかに美しく輝いているときがある」
 涙は欲望、愛情、感傷の万華鏡でもある。
 さて、この夏の涙の万華鏡が楽しみである。

(風彦)