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[不定期連載] ひろしまくっちゃね隊―22 肉が喰いたい!

月末になり、忙しくなると残業が増える。

残業は嫌いだ、飲みに行けなくなるから。

夜遅くなるだけでストレスが溜まる、危険なくらいイライラする。

そうなる前に早めに夕飯を喰らい気持ちを立て直す。

そういう時はやっぱり肉だ。

肉しかないだろう、

肉しか。

焼肉か牛丼、ステーキ、ビフカツ色々あるが

今の気持ちはだ。

野獣のような笑みを浮かべ会社の軽トラのハンドルを北西に切る。

100メーター道路を気持ち暴走し、観音町にある焼肉屋の前に乗りつけた。

平日の夕方早い時間なのでまだガラガラだが煙りの匂いが付かないのでラッキー。
おばちゃんが気さくに注文を取りに来てくれたのでガツーンと頼む。

もちろん肉刺丼、

これから戦う男はこれしかない。

牛肉は吸収率の良い必須アミノ酸が多く、ストレス軽減の効果もあり、尚且つこの店の肉刺しは脂身が少ない赤身なのでヘルシーなのだ。

本来は焼肉や内臓系もめちゃめちゃ美味い店だが、焼肉の薫りを付けて回れる程に営業は甘くない(多分)

そんな時に強い味方が肉刺丼だ。

熱いお茶と暖かい手ぬぐいで気持ちをリフレッシュしながら心地よく待つ。

テンションが高まる寸前に愛想よくおばちゃんがドンブリを持って来てくれた。

ここから先はケモノの時間、邪魔する者は噛み殺すしかない。

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ドンブリは一見、一面のモミノリに黒く覆われている。

はやる気持ちを無理矢理抑え込み、その一画を崩し、ゆっくり持ち上げる。

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黒い森の中から鮮度の良さを感じる生肉、肉刺しが顔を覗かせる。

なまめかしいまでに赤く濡れ光る肉刺しは官能的ですらあり、思いがけず興奮する。

本来はガッツリ掻き混ぜほうばりたいとこだが、グッと我慢して肉刺しのみを味わう。

う、うまい。

脂身、さしのほとんど無い赤身はダイレクトに肉の味を口の中で纏わり付き、拡がる。

本来は内臓系のハラミなのに臭みもなく、

ただ旨い、

美味いのだ。

食欲を刺激され、温かい白飯をほうばる。

間違いない、美味い。

また生肉を今度は多めにほうばる。

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肉を噛み締める喜び、

生だけが刺激する太古からの本能的な快感(たぶん、妄想過多)

ああ、やっぱりレバ刺しとタン刺しも頼めば良かった。

この店は本当に生、生肉が旨い、うますぎる。

喰えば間違いなく、ビールを飲み、飲酒運転で身を滅ぼすだろう。

でも食べたい、

もっと生肉食べたい。

揺れる心を引き戻す為にタレの染みたご飯をほうばる。

山葵の効いた甘い醤油味がご飯にシミシミしてこれだけでドンブリ喰らいそう。

思わず笑みがこぼれる自分に気付く、やはり日本人は米が最高。

しかし揺れ戻しは激しく、肉を掴むハシは止まらない、止めれない。

赤身だけなのにこんなに旨い、いや赤身だからわかる美味さなのか?

ふいに肉を焼いた時の美味さを思い出し、テーブルの隅に追いやられた肉焼き器をじっと眺める。

次は焼肉と心に固く、そして強く誓い。

ついにルピコン河のカエサルの如く決断し、ドンブリを掻き混ぜ始める。

後は一心不乱、写メも撮らない。

胃袋に、ただ押し込むだけ。

美味い丼物に会話はいらない、ただただ口にほうばり、本能のまま嚥下するだけ。

空のドンブリを置き、まだ温かいお茶を一口啜る。

満腹感感と幸福感を噛み締めながら、仕事終わりのサラリーマン達とすれ違い、店を出る。

さあ、もう一仕事頑張るか?(たぶん)