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『印刷物の考現学』『編集者!』

『印刷物の考現学』

 田中正明 著 オフィスリテロ 発行

 ポスター、カタログ、切符、切手、カレンダー、絵はがき…etc.世の中はさまざまな印刷物であふれかえっている。本書は、【1976年~1981年】と【1996年~2000年】の2期にわたって、「印刷雑誌」という雑誌に毎月掲載されたエッセイをまとめたもの。デザイナーである著者が、気になる印刷物を取り上げ、その印刷物の風合いを社会的考察をまじえながら述べている。著者の海外行きをはさんで2部に分かれているが、後半では印刷のデジタル化が大幅に進んでいる様子がわかる。
 「テレカ・デザイン学というものを(中略)じっくりと考えてみるべきものと思っている」と現在では懐かしいものになってしまったテレホンカードについて書かれているのも興味深い。
 地域の広報誌など地味な印刷物にも目を向けられているのがうれしい。この「インフォメーション」も今の世の中に現れた「印刷物」の一つ、真摯に取り組まなくてはと、あらためて思った。

 

『編集者!』 

 花田紀凱 著 ワック株式会社 発行

 『文藝春秋』『週刊文春』など数々の雑誌のデスク、編集長を経て、現在は『WILL』の編集長である花田氏。経歴が経歴だけに、作家や有名人の裏話満載。作家のもとへ原稿の催促に通い詰めた新人編集者時代。脂が乗りきってからは、政界・財界を相手に回してスクープを連発。本書は、著者がこれまで形にしてきた雑誌や週刊誌をぎゅっと圧縮して一冊にしたような本だ。
 題を見て、ベテラン編集者による編集の心得が書いてある本かと思い、手に取ったが、編集者の心意気が詰め込まれた本書は、ハウツー本などというやわなものではなかった。派手にレイアウトされたタイトルが宣言しているように。

(哉)