身近な野鳥 「地味な姿のカルガモ」 2013年10月

野鳥観察の楽しみ(百二十七)

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写真はカルガモの番い(‘13.3.30.東広島市八本松町〔Nikon D4, Nikkor AF-S 300mm, 1:2.8 GⅡED, f/5.6, 1/1000秒, +0.3,ISO 640,トリミング〕

 

早い年には9月の中旬にカモがやって来る。しかし、今年は9月の後半になっても暑い日が続いているので渡来が少し遅れている。9月27日今季初めて七つ池でコガモ23羽を確認(初認と言う)した。この時カルガモ4羽もいたが、この種は一年中この地で見られる留鳥なので、コガモたちと一緒に移動して来たかも知れないが、渡って来たとは言わない。

カルガモは雌雄同色で、区別は困難だが、どちらとも黒い嘴で先が黄色であるので、よく似た他のカモの雌とははっきりと識別出来る。また、雌雄共に目を横切る濃い茶褐色の線(過眼線)が特徴だ。体はマガモよりやや大きく、鳴き声はグエー、グエーと鳴く。雄は雌より体が大きく、繁殖期には尾筒の羽の色が雌より黒いと言われている。

今年のように酷暑の夏でも、カルガモのつがい(番い)と思われる2羽が田んぼの畦でうずくまり、あえいでいる姿を度々見た。秋に入ってもカルガモは2羽でいる姿を多く見ているので、一年中番いでいるものも居るのではないかと思われる。

そうすれば、雄は雌に気に入ってもらうために、あえて危険な姿・目立つ派手な姿になる必要がない。そのお陰で地味で安全な姿で一年中過ごすことが出来る。では、最初に番いとなる時には、雄はどのようにして雌に選んでもらうのだろうか?それとも、雄が雌を選ぶのだろうか?

(2013年9月30日記)

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「なかなか会えないゴイサギ」 2013年09月

野鳥観察の楽しみ(百二十六)

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写真はゴイサギ成鳥(‘12.5. 13.山口県岩国市〔Nikon D4, Nikkor ED,AF-S 600mm, 1:4 DⅡ, f/6.3, 1/2000秒, ISO800,トリミング〕

 

 最近、身近ではなかなか会えなくなった野鳥の一つにゴイサギがいる。もともとゴイサギは夜行性なので昼間見ることの少ない鳥だが、繁殖期には雛に餌をやるため、昼間も活動するものもいるので時々見かける野鳥であった。家の傍の黒瀬川の堰の下でじっと餌の来るのを待っている姿が強く印象的に残っている。

 ここのところゴイサギに出会う機会が少なくなったが、昨年、久し振りに南岩国でじっくり写真に撮れた。この時は、田んぼの畦にいていつもと変わらず不動の姿勢であった。それよりも前に会って印象に残っているのは、ホシゴイと言って全身茶褐色で羽には白い斑点がある幼鳥だったので、ゴイサギとは別の種ではないかと思われる姿であった。

 しかし、成鳥は頭から背中にかけて紺色がかった艶のある黒色をしていて、羽は濃い灰色。下面は真っ白。目は赤く、後頭部から2、3本の白い紐のような冠羽が垂れ下がっている。この時は草に隠れて見えなかったが、足は黄色がかった橙色をしている。

 この地に引越しして来たばかりの頃、辺りは田んぼが広がり、夜になると街灯も少なく真っ暗になった。そのような中、上空から突然「グワッ!」と一声大きな声が聞こえ、驚いたことが懐かしい。今はサギ達がめっきり減ってしまってさびしい。昔、サギ達がコロニーを形成し、集団で巣を掛けていた里山がなくなってしまったことを改めて認識させられている。

(2013年9月2日記)

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「大きな白いサギのダイサギ」 2013年08月

野鳥観察の楽しみ(百二十五)

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写真はチュウダイサギ(‘13.7.27.東広島市河内町小田〔Nikon D4, Nikkor AF-S 300mm, 1:2.8 GⅡED, f/6.3, 1/1000秒, ISO 640, トリミング〕)

 

 今月こそはダイサギを取り上げようと、早めに仕事を切り上げ、田んぼの広がる西条盆地の中心地である八本松町の原地区の東側と西条町下見地区の農地全域を車でぐるぐると回った。東西約2Km,南北約2Kmを隈なく見たが、とうとうダイサギは見つからなかった。

 この地域ではこの時期のサギ類は年々減少しているが、特に昨年から急に数が減った。数年前まではその年に生まれた若鳥を含めると100羽は越えていたのに、年々減少し、昨年は20数羽、今年は10数羽しかいない。それに、今年はサギ山がどこにあるのか分からないのも心配の一つだ。

 仕方ないので、4日前、市内の河内町小田を訪れた時、見かけたダイサギの写真を掲載する。この時は小さな望遠レンズしか持って行かなかったので、写真が小さくて分かりづらいが、目先が青色をして、口角(口の割れ目)が目の後ろまで伸びているのでダイサギだと識別できる。チュウサギは目先が黄色、口角が目の下までしか伸びていない。

 10年前頃から夏に日本にいるダイサギは春にやって来て、冬には南に帰ってしまう亜種チュウダイサギ、冬にはオオダイサギがやって来る事を知った。2000年に発表された鳥学会の「日本鳥目録」改訂6版には既にダイサギを亜種のダイサギと亜種のチュウダイサギとして記載されていた。この区別は困難であるが、写真は夏のダイサギなので、チュウダイサギであろう。

(2013年7月31日記)

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「届けられたイワツバメの雛」 2013年07月

野鳥観察の楽しみ(百二十四)

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写真はイワツバメ(‘13.6.20.東広島市高屋町造賀〔Nikon D300, Nikkor AF 28-105mm, 1:3.5-4.5 D, f/7.1, 1/60秒, flash+wide panel, ISO 400,トリミング〕)

 

 「この鳥が道路に落ちていました。自動車に轢かれてはいけないと思い救って来ました。」と1羽の小鳥が紙箱に入れられ、そおっと白い布をかぶせて運ばれてきた。覆いを取ると、鳥は光沢のある黒い羽が背中から尾の先まで伸び、腹は真っ白、尾が短く、ツバメの雛のように見える。

 しかし、よく見ると腰が白く、尾の先が揃っていて、両端に燕尾のような長い尾がない。羽にもう産毛は見当たらないが、頭には僅かに産毛が見受けられ、口元が黄色い。外傷もないようなので、多分、巣立ちの時に目的地まで辿り着けず、道路に落ちたイワツバメの雛であろうと思った。

 どの種のツバメも餌は生きた虫で新鮮な蛋白質なので、人の手で育てる事は困難であるし、そもそも野鳥は飼ってはいけない。居た場所の近くで、安全な所に帰してやってほしいとお願いした。東広島でイワツバメの子育ては知られていないので、もし、間違いなく雛であれば初めての確認になることも伝えた。

 夜遅くの事であったので、急いで持ち帰っていただいたが、5月から6月にかけて毎年このような相談が寄せられる。多くの場合、ツバメやスズメやシジュウカラであるが、今年は烏の雛についても相談が寄せられている。「雛は拾わないで!」と呼び掛けているので、今回もこの雛が親鳥に難なく見付けられ、無事育ってくれることを願っている。

(2013年6月29日記)

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「30年ぶりのシマアジ」 2013年06月

野鳥観察の楽しみ(百二十三)

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写真は上シマアジ♂(‘13.5.12.山口県岩国市〔Nikon D4, Nikkor ED,AF-S 600mm, 1:4 DⅡ, f/8, 1/1600秒, ISO 640,トリミング〕

 

 シマアジはなかなか出会えない野鳥の一種である。バードウオチングを始めたばかりの頃の5月、大沢田池にいるのに出会えてから早、30年も経っている。この辺りでは通過するだけの旅鳥であり、その上、主な移動経路から外れているので数も少ない。

 今年の3月、七つ池にいるのに久しぶりに出会え、懐かしくも、嬉しくも思った。その時は雄が多くのカモ達の中で唯1羽だけだったが、そのカモ達も4月中旬には全て旅立ってしまった。ところが5月12日、会の観察会で南岩国の蓮田に行くと、雄と雌らしいのが1羽ずつ一緒にいるではないか。会員は2人ずつそおっと近づき、順番に息を殺しながら、目を輝かしながら観察した。

 その1羽はヒドリガモの雌によく似ているが、嘴が全部黒色のようにも見える。また、シマアジには有るはずの眉斑も口元の白斑も見えない。どう見てもシマアジの雌とは同定できない。帰って写真を良く見るとやはりヒドリガモの雌のようだ。もし、そうであり、番(つがい)であれば種をまたがっての結婚となるが、単なるお連れ様カモ知れない。

 雄の繁殖羽は特徴があり、背中の飾り羽は白と青色がかった黒い縞模様がはっきりしているし、目の上を通る真っ白い眉斑が太くて頭の後ろまで伸びているので同定は容易である。大きさはコガモくらいの大きさで小さい。幸いなことにこの日、メンバー全員が観察し終わっても、ずうーと同じ畦にいてくれた。「渡り」は相当大きな体力の消耗を伴う大仕事のように思え、つい「お疲れ様」とつぶやいた。

(2013年5月31日記)

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「思いがけない出会いコムクドリ」 2013年05月

野鳥観察の楽しみ(百二十二)

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写真はコムクドリ♀(‘13.4.05.東広島市西条町〔Nikon D4, Nikkor ED,AF-S 600mm, 1:4 DⅡ, f/6.3, 1/640秒, +1.3, ISO 640,トリミング〕

 

 コムクドリは春秋、渡りの時期に広島県を普通に通過している旅鳥のようだが、旅鳥は一般的に滞在期間が短いので、目に触れることが少ない。特に東広島市ではコムクドリの報告は少なく、私も今まで出会った事がなかった。

 それは思いがけない出会いであった。その日は黒瀬川土手の自然観察会が近づいたので、下見方々、回り道をして帰ることにした。川にはコガモやカルガモが岸辺近くにいた。このカモ達の直ぐ近くでスズメくらいの大きさの鳥が水浴びをしている。双眼鏡を出す間もなく飛び立った。

 川土手に沿って飛び上がって来た。腰のあたり(上尾筒)が白っぽく感じられ、急いで後を目で追うと、10m先のビワの木の茂みに入った。近づいて探していると隣の落葉樹の枝に出て来た。頭部がクリーム色がかった褐色、焦げ茶色の背中、コムクドリだ。ムクドリよりも体が小さく、嘴も小さくて黒い。

 今日FM東広島の番組で、バードウオチング入門講座を紹介する生放送に出演した。その時、アナウンサーからバードウオチングの魅力はなんですか?と問いかけられた。その答えの中の一つが、このような出会い・自分にとって新しい野鳥との出会いであり、このコムクドリの話をした。

(2013年4月31日記)

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「睨みつけるシメ」 2013年04月

野鳥観察の楽しみ(百二十一)

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写真はシメ(‘13.2.11.岩国市)〔Nikon D4, Nikkor ED,AF-S 600mm, 1:4 DⅡ, f/6.3,1/5000秒, -0.3, ISO 640,トリミング〕

 

 この冬の日本列島は例年になく寒さが厳しく、北日本には記録的な大雪が降った。このような年は飛来してくる冬鳥の種類に例年とは違いがある。前号に引き続き今月もそのような野鳥の一つ、シメを紹介する。シメには数年以上会っていなかったがこの冬は何回もあったし、仲間からの観察情報も多い。

 シメと目が合うと、いつもギクッ!とする。睨めつけられているように思えてならない。厳しく感じられるのは目が大きいからか、目の先に黒いマークがついているせいか良く分からないが、誠に鋭い目をしている。咽喉に逆三角形をした黒色の斑がある。体の色は全体的には褐色に見え、背中の部分は茶褐色、羽に白と黒の模様がある。

 太くて大きな嘴はピンクがかった乳白色、文鳥の嘴を大きくしたようだ。この日も高い木の上で樹の実を盛んに音をたてながら食べていた。じっとしている事は少なく、常に、辺りをきょろきょろと見渡したり、枝から枝へと細かく移動した。

 樹は落葉しているとは言え細い枝が沢山あり、樹の中にいると体全体が分かる写真をなかなか撮らせてくれない。ようやく樹のてっぺんに出てくれたところが写せたが、30mを超える大木の上では小豆大の大きさにしか見えなかった。珍しい野鳥が来たとの事で、その鳥が現れてくれるのを待っている間の撮影であった。

(2013年4月1日記)

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「寒い冬とキクイタダキ」 2013年03月

野鳥観察の楽しみ(百二十)

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写真はキクイタダキ(♀)(‘13.1.20.東広島市)〔Nikon D4, AF-S Nikkor VR 300mm, 1:2.8 GⅡED, f/6.3,1/500秒,ISO640〕

 

 この欄の執筆をしばらくお休みさせて頂いていたが、これからは野鳥の写真が撮れた時に気ままに書かせて頂こうと思っている。さて、この冬は例年になく寒さが厳しく、北日本では積雪量も記録的な多さとなり、普段の生活にも影響が出ている。このような年には飛来してくる冬鳥にも例年とは大きな違いがある。

 例年にはあまり見られないキクイタダキやシメなどによく出会う。キクイタダキの飛来は特に多く、何処に行っても見られると言っても良いくらいだ。しかし、体の大きさが日本の野鳥の中では最も小さく、動きも早いので納得できる写真をなかなか撮らせてくれない。シャッターを押してもピンボケやフレームから外れた写真ばかりだ。

 キクイタダキは全体にオリーブ色をして、頭の前頭中央部から頭の中央部にかけて黒で縁取られた黄色い部分が目立つ。雄にはこの黄色部分の頭部後方に赤い斑状部分が見えるので識別される。黒くて大きい目のまわりが白く縁取られているのでかわいさが助長されている。さらに、翼の一枚一枚の羽の周り(羽縁)が白く縁取られているので丸っこい体形をスマートに見せている。

 この冬、キクイタダキの写真撮影はあちこちで挑戦したが、なかなか物にならなかった。仲間に遅れて池のまわりから池の中のカモを観察しながら歩いていると、堰堤側の生け垣の中を素早く動くキクイタダキに気が付いた、至近距離からやっと捉えた一枚の写真(上)がこれで、この欄を書くきっかけとなった。

(2013年2月28日記)

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「見張りをするハシブトガラス」 2012年08月

野鳥観察の楽しみ(百十九)

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写真はハシブトガラス、(‘08.1.27.東広島市)〔Panasonic DMC-FZ18, f/8, 1/800秒,〔トリミング〕

 

 ハシブトガラスは身近にいるのだが、この辺りではハシボソガラスよりかなり数が少ない。しかし、注意して見ると、高いところから1 羽で見張りをしいることが多い。もしかしたら、こちらは気づいていないが、彼らは私たちの行動をじっくり観察しているかもしれない。

 ハシブトガラスは写真の輪郭でも分かるように、嘴の付け根から急にオデコが出ていて、先に、この欄(百十七)でも述べたがハシボソガラスの横顔は嘴の上の線がそのまま一直線に伸びていて、頭の盛り上がりが少ないのと対照的だ。また、体の大きさもハシボソガラスと比べてやや大きい。しかし、体の色はどちらも真っ黒で、輝いている

 ハシブトガラスの鳴き声は透きとおっていて、高い。一方、ハシボソガラスは濁った低い声をしているので鳴き声だけでも識別(同定)できる。観察していると直ぐに気が付くことであるが、カラスの瞬きには目蓋を閉じないで、目の前方から膜が出て来て瞬きをする方法もあることである。上の写真にはこの時の膜(瞬膜)が写っている。

 童謡に「夕焼け、小焼け」の「からすといっしょにかえりましょう」と言う歌詞があるが、夏も終わりに近づくとカラスは連れだって塒(ねぐら)に帰って行くようになり、翌年繁殖を始める頃にこの習性は見られなくなる。この作詞者中村雨紅に限らず文学者も、良く自然を観察しているなあと感心している。

 この欄を書き始めてまる10年が経ってしまいました。途中病気のため少し休憩もしましたが、毎月欠かさず良く続けられたものだと思っています。これもタニシ企画印刷㈱の田河内康輔、秀子両社長様初め担当の高尾様のお励ましのお陰だと感謝しています。また、この欄を読んで頂いた多くの方々にお礼申し上げます。読者の方からの期待や、激励のお言葉で本当に勇気づけられました。有難うございました 。

(2012年8月1日記)

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「餌をくわえたチゴモズ」 2012年07月

野鳥観察の楽しみ(百十八)

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写真はチゴモズ♂、(‘12.6.22.東広島市)〔Nikon D4, Nikkor ED,AF-S 600mm, 1:4 DⅡ, f/6.3,1/1600秒, +1.7, ISO 800,トリミング〕

 

 梅雨の最中に晴となった日、午後5時になるのももどかしく急いで大学の近くの森の中のある会社の庭にお邪魔した。会社の方と挨拶を済ませると直ぐに、チゴモズは目の前の電線に姿を現わした。辺りを覗っていたが、さっと飛び立ち、次の瞬間には、口にキリギリスの仲間をくわえて近くの樹に戻って来た。

 太くて黒い過眼線がモズの仲間である特徴を示し、頭が青灰色、腹が真っ白なので、普通のモズではなく、間違いなくチゴモズである。それに胸側から脇にかけて褐色の横斑が見えないのでメスでもない。シャッターを押し、写り具合を確認して、目を上げるともうそこに彼の姿は無かった。

 チゴモズは主に中部地方以北にやってくる夏鳥で、広島県は通過するだけであり、さらに、環境省も絶滅危惧種に指定しているくらい数の少ない貴重な野鳥である。これを観させてもらった事に感謝しながら、もう一度現れるのを待った。しかし、それから1時間も待ったが彼は二度と姿を現わさなかった。

 それにしても、オスの成鳥が口に餌をくわえていると言うことは、妻へのプレゼント(求愛給餌)か巣の中の妻に運んでいるか、雛に与えている可能性 が考えられる。2006年に広島県でも営巣が確認されているので、東広島市でも子育てをしてもおかしくはない。

(2012年6月30日記)

野鳥観察の楽しみ

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