身近な野鳥 「鶴に見間違えられるアオサギ」 2011年08月

野鳥観察の楽しみ(百七)

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写真はアオサギ、(‘11.03.16.東広島市西条町)〔Nikon D300, Nikkor ED AF VR 80-400mm,F/4.5-5.6D, 1/500秒,f/6.3, ISO400,トリミング〕

 

 昨年、梅雨の終わり頃、「裏山に鶴が来ているので、見てほしい。」と電話が入った。多分アオサギではないかと思い問いただすと、「頭が灰色で首が長い。夕方になると山に帰って行く。」とのこと。飛んでいる時首を真っすぐに伸ばしているか、折り曲げていないか聞いても、そこのところは良く見ていないと言う。

 このような電話はこの25年間で3度も経験している。その都度現地を訪れ首を折り曲げて飛んでいるアオサギを確認している。しかし、今回は2度も足を運んだが、姿を見ることができなかった。中国地方にやってくる鶴は冬鳥で夏には普通いないことを説明して納得してもらった。

 アオサギは単独で山に巣を掛けることもあるが、ダイサギ、チュウサギ、コサギそれにアマサギが集団でコロニーを作り営巣している傍で、巣を掛けていることが多い。また、別の場所で数個の番(つがい)が集団でそれぞれ巣を掛けていることもあり、同じ木の上下を同時に利用している事もある。

 アオサギは日本のサギでは最も大きい。背面が蒼灰色で、長い首と長い足は確かに鶴に似ている。しかし、後頭部に垂れさがる黒色の冠羽がある。また首には黒色の縦斑が数本あり、ツル類と識別出来る。アオサギは海岸から川の上流、田んぼ、池の傍に年中いて水辺の鳥としてなじみ深いが、夕方頭上を飛び山や森に入っていく姿を見ると鶴ではないかと思われるらしい。

(2011年7月30日記)

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「夏羽のアマサギ」 2011年07月

野鳥観察の楽しみ(百六)

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アマサギ、(‘11.06.21.東広島市八本松町)〔Nikon D300, Nikkor DX 18-200mm,F/3.5-5.6G ED, 1/1000秒,f/6.3, ISO800,トリミング〕

 

 梅雨入りして早や1ヵ月が過ぎた。平年なら田んぼには多くのアマサギやチュウサギがいて賑やかなのだが、今年は八本松町から西条町にかけての地域のどこを廻ってもなかなか彼らが見つからない。ましてや鮮やかな紅色の嘴をした婚姻色の個体にはとうとう出会うことが出来なかった。

 やっと見つけたのが写真の夏羽になったアマサギである。嘴の根もとがややピンクがかっているが、婚姻色には程遠い。アマサギの婚姻色は眼もとと嘴の根もとが濃い紅色で、先の方に向けて次第に紅色が薄くなり、先は黄色となる。眼球と足も深紅になる。

 アマサギの冬羽は特徴のある亜麻色が消え、全身が真っ白で体長が同じくらいのコサギと見間違いそうになる。しかし、コサギの嘴は真っ黒いがアマサギはこの時期黄色くなっている。アマサギの足は指の先まで黒いがコサギは黄色い足袋をはいている様に見えるので容易に区別できる。

 冬の南の島で、アマサギが黒い水牛の背に止まり、のんびりしている姿を見たことがある。水牛に集まるハエやアブを捕っていたものと思われる。日本に来ては田んぼのカエルやミミズを食べるだけではなく、バッタなど稲を食い荒らす昆虫を食べてくれて、大いに役立っている。

(2011年6月29日記)

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「梅雨とチュウサギ」 2011年06月

野鳥観察の楽しみ(百五)

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写真はチュウサギ、(‘11.05.25.東広島市八本松町)〔Nikon D300, Nikkor VR 80-400mm,F/4.5-5.6D, 1/1000秒,f/6.3, +1.0,ISO400,トリミング〕

 

 今年の梅雨入りは平年より12日も早く5月26日と発表された。台風2号も沖縄の南で発生し、今朝は種子島の南に接近している。その影響もあって雨は時々激しく降りつけ、大雨の心配もされている。梅雨時の野鳥と言えば水辺にいる野鳥が良いと思い、今月は梅雨入り前日に見たチュウサギを取り上げる。

 チュウサギは夏鳥で例年5月の大型連休の時期、田んぼで田植の準備が始まると何処からともなく集まって来て、耕運機の後を我先にと走って行く姿が目に浮かぶ。しかし、今年はあちこちで耕運機が作業を始めても、チュウサギやアマサギが集まって来ている姿をとうとう目にすることはなかった。

 昨年の猛暑と繁殖中の巣が壊されてきたせいなのか、私が観ている広い農地の周辺が開発され、この4月から新しい中学校も建設が完了し、開校した為だろうか、チュウサギもアマサギも本当に少なく激減してしまった。

 チュウサギは大きさがコサギより大きく、ダイサギより小さい通称白鷺の仲間だ。足が長く首も長く、長い嘴は黒いがこれは繁殖に向けての婚姻色で、その内黄色くなり先だけ黒くなったものが多くなる。口の裂け目(口角)が目の下で止まっているのが、目の後ろまで裂けているダイサギとの識別ポイントである。

(2011年5月29日記)

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「桜の花とノビタキ」 2011年05月

野鳥観察の楽しみ(百四)

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写真はノビタキ♂、(‘11.04.10.東広島市八本松町)〔Nikon D300, Nikkor VR 80-400mm,F/4.5-5.6D, 1/1000秒,f/6.3, +1.7,ISO400,トリミング〕

 

 「ノビタキがいるよ。」 と帰省していた息子が声を掛けてくれた。自宅近くの黒瀬川の土手に植えられた桜が今年初めて花を付けた。その枝にいる。すぐに飛び立ちフライングキャッチしては近くの枝に舞い戻ってくる。

 ノビタキはこの地では旅鳥として通過途中に見られるだけで、直ぐに姿を消してしまう。それも今までは秋の渡りにしか巡り合っていない。春の渡りの時期に頭から背中が真っ黒になった立派な雄に会いたいとかねてから思っていた。

 ノビタキはスズメくらいの大きさで、目が大きくてかわいい野鳥だ。雄の夏羽は首から上、背面が真っ黒で、白い大きな斑紋が良く目立つ。胸から腹にかけて、淡い黄褐色、下腹部から尾筒下面は白い。雄の冬羽は雌とよく似ていて、頭から背面が茶褐色、下面は淡い黄褐色をしている。

 とっさに持ち出したのが手持ちの400mmズームレンズ、思ったよりも近づけず。撮った写真は手ぶれか解像度不足、大きい真っ黒い目は真っ黒い顔に埋まりはっきり輪郭が見えない。願ってもない背景の中のノビタキに申し訳ない。

(2011年5月1日記) 

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「ぼさぼさ頭のウミアイサ」 2011年04月

野鳥観察の楽しみ(百三)

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写真はウミアイサ♂、(‘10.03.12.山口県光市)〔Nikon D300, Nikkor ED,AF-S 600mm,1:4DⅡ, 1/1250秒,f/7.1, ISO400,トリミング〕

 

 ウミアイサがいるとの情報を得て、山口県八代のナベヅルを観ての帰りに、光市の島田川河口へ寄ってみた。昨年3月の中旬のことで早や一年を経過している。本当に時の経つのが速い、歳をとったせいだろうか。

 私が初めて冬鳥のウミアイサを観たのは宍道湖だった。その後、八幡川河口でも見ているが、広島県の賀茂台地では未だに観察記録がない。カワアイサは内陸にもやってくるが、ウミアイサは名前通りに海か海に近い環境を好むものと思われる。

 ウミアイサの姿はカワアイサによく似ているが、後頭部の毛がぼさぼさに伸びて、カワアイサの後頭部は毛が綺麗になでつけられている。嘴はウミアイサもカワアイサもカワウに似て、細長く、先がかぎ型に曲がっているし、嘴の色は鮮やかな柿色をしている。

 午後の訪問なので、写真撮影の光線の具合を考えると、河口の西岸が良いと考えて行ったが、川の流れは東岸寄りで、西岸は広い砂浜となっていて、ウミアイサまでの距離があまりにも遠い。仕方なく東岸に廻った。やはり逆光のため赤い眼はかろうじて見えるが、緑のビロード色に輝く頭が黒くなってしまった。

(2011年3月31日記) 

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「尾端の赤いヒレンジャク」 2011年03月

野鳥観察の楽しみ(百二)

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写真はヒレンジャク、(‘11.01.13.東広島市)〔Nikon D300, Nikkor ED,AF-S 600mm,1:4DⅡ, 1/1000秒,+0.3,f/6.3, ISO400,トリミング〕

 

 先月号で書いたキレンジャクは唯一羽のみ居たのであって、周りは全て尾の先端が緋色であるヒレンジャクであった。ヒレンジャクはキレンジャクとほぼ同じような容姿をしていて、尾の先の色が赤色をしているのが大きな識別のポイントである。

 西日本ではキレンジャクよりヒレンジャクの方がより多く観察されているようだが、それでも私の住んでいる地域では会えるのが稀である。ネズミサシの樹の黒く熟れた実を群がって啄んでいる時などはチリチリチリと小さな声でささやくようにおしゃべりをしていた。

 ヒレンジャクの特徴は冒頭に述べたが、大きさはキレンジャクよりほんの少し小さい。羽の中間付近(次列風切り先端)の赤くて、ろう状の液滴形をした部分(これがレンジャク類の英名Waxwingの由来となった。)がキレンジャクにはあるがヒレンジャクにはない。

 キレンジャクを含むこのヒレンジャクの群れは4日後までは時々この鏡山公園に姿を現わしていたが、その後は何処へ行ったのか居なくなった。その後、豊栄町にも現れたとの情報が寄せられたが、同じ群れであったかどうかは不明である。

(2011年2月27日記) 

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「奇抜な冠羽のキレンジャク」 2011年02月

野鳥観察の楽しみ(百一)

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写真はキレンジャク、(‘11.01.13.東広島市)〔Nikon D300, Nikkor ED,AF-S 600mm,1:4DⅡ, 1/1250秒,+0.3,f/6.3, ISO400,トリミング〕

 

 奇抜な冠羽、目を通る黒くて太い線、尾の先が黄色い。キレンジャクだ。鏡山公園でヒレンジャクを見たとの情報は得ていたが、ここに私が来た時はツグミとヒヨドりばかりで何もいなかった。公園を一周して駐車場に戻ると、頭上の樹に鳥影を数羽見つけた。直ぐにフィールドスコープで覗くと、樹のてっぺんに居るのはキレンジャクではないか(写真上)。

 西日本でキレンジャクに会えるのはヒレンジャクより更に稀で、広島県には来ない年があるらしい。来ても県内の何処かに飛来し、全域で見られる訳ではない。黒瀬町の友人は7年前に会っているそうだが、私は14年前に市内の中心部西条町で見て以来である。

 キレンジャクの特徴は冒頭に述べたが、大きさはツグミよりやや小さい。羽の中間付近(次列風切り先端)に赤くて、ろう状の液滴のような形をした部分が見える(写真下)。これがレンジャク類の英名Waxwingの由来である。

キレンジャクはこの1羽のみで、10羽のヒレンジャクの群れの中に混じっている。群れは樹の上部に止まり、休むか、身繕いをしている。しばらくすると一斉に飛び立ち、近くのネズミサシの樹に群がり黒くなった実だけを食べた。飛び去った後には黄緑色をした未熟の実がまだ多く残されていた。

(2011年1月28日記) 

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「イチョウ羽を持つオシドリ」 2011年01月

野鳥観察の楽しみ(百)

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写真はオシドリの雄、(‘10.12.10.東広島市)〔Nikon D300, Nikkor ED,AF-S 600mm,1:4DⅡ, 1/320秒,f/6.3, ISO400,トリミング〕

 

 「わあー、キレイ!」思わず叫びそうになる。まるで「おもちゃ」を池に浮かべているようなオシドリの雄だ(写真)。東広島市内で開発に伴って造られた調整池のフェンスの外からそっと覗いた時、目に飛び込んできた光景である。フェンスのこちら側は駐車場であるが、池の周囲は立木が鬱蒼と茂っていて、その中には実を付けたコナラの木もある。

 オシドリは主にドングリを食べる。この近くにはコナラだけでなく、アラカシ、アベマキの木もあり、近くの街路樹にはシラカシも植えらているので、ドングリには困らないのだろう。さらに、隠れて静かに休息する場所もあり、ここで越冬しているものと思われる。

 オシドリは主に中部地方以北や九州で繁殖をし、夏を過ごす。秋になると広島県にもやってくるが鳥取県の日野町が有名な飛来地である。日野川で餌付けされていて観光資源として大切に保護されている。本来、オシドリは警戒心が強く人目に付くことは少ない。

 オシドリの雄の特徴は鮮やかな色彩をしていて、他のカモと直ぐ識別できるが、特に、腰の上の方に黄色く紅葉したイチョウの葉を立てたような「イチョウ羽」を持ち、紅色の小さな嘴が愛らしい。雌は他のカモと同じように地味な色をしていて、からだ全体がグリーンがかった灰褐色、目の周りに白い線があり、後ろに伸びている。

(2010年12月23日記) 

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「頭上のノスリ」 2010年12月

野鳥観察の楽しみ(九十九)

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写真はノスリ、(‘‘10.11.14.山口県)〔Nikon D300, Nikkor ED,AF-S 600mm,1:4DⅡ, 1/2000秒,f/6.3, ISO400,トリミング〕。

 

  突然頭上にノスリが現われた。地元ではなかなか会えない猛禽類だ。11月14日に山口県のきらら浜自然観察公園へバードウオッチング入門講座生の修学旅行に引率して、園内を散策している時の事である。あちこちから、鷹だ!鷹だ!の声がする。上を見ると丁度真上を飛んでいる。

  急いで写真を撮り、写真機後ろの画面ですぐ確認する。肉眼では下面全体が白っぽく見えたが、翼先端部が黒く、翼下面中央よりやや翼先に近い前側(翼角)に黒褐色の斑点がある(写真)。また、脇から下腹にかけて黒褐色の帯も確認される。さらにズームアップすると咽が黒く見え全てノスリの特徴をそなえている。

 丁度帆翔していたので、翼を横から見ると浅いV字型に見えたはずであるが、真下から見ているので、それは良く分からなかった。目を上に上げてもう一度観ようとしたが、周りに立木があり、すぐに視界から消えてしまった。

 ノスリは冬にこのような開けた草原や、干拓地に来るようで、近くでは笠岡干拓でじっくり観ている。東広島市でも姿は確認されているが、私は安芸津町の上空を通過するのを一度観ただけである。かねてからワシタカ類の識別能力を高めたいと思っているが、生態系の頂点に立つ鳥だけに数が少なく、出会う機会が本当に少ないのでなかなか上達しない。

(2010年11月27日記) 

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「通過途中のエゾビタキ」 2010年11月

野鳥観察の楽しみ(九十八)

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写真はエゾビタキ、(‘10.10.14.東広島市西条町)〔Nikon D300, Nikkor ED,AF-S 600mm,1:4DⅡ, 1/500秒,f/7.1(+0.7), ISO400,トリミング〕。

 

 今年はエゾビタキに何度もあった。エゾビタキはこの地では秋にだけ見られる旅鳥なので、すぐに通過してしまい、比較的目に止まる機会が少ない野鳥だ。そのためか、今までゆっくり写真を撮るチャンスに恵まれなかった。今月3日、会の行事で市内の鏡山に登った時も、頂上で直ぐ真近で見ることが出来たが、写真は撮れなかった。

 その10日後、構内の野鳥調査をした時も、何度も会ったが200mmのズームレンズしか持っていなくて残念な思いをした。早速、次の日も居てくれることを願って同じ場所を訪れると、エゾビタキは林の中から運動場の傍の桜並木の地面に降りてきて、餌を啄むと、さっと逃げ、林の中の枝に止まった(写真)。

 エゾビタキはスズメくらいの大きさだが、枝に止まる角度がスズメより立っているので、よりスマートに見える。頭から背中、尾の先まで黒色がかった褐色。胸は白地に黒褐色の縦斑があり、下腹は白い。ヒタキの類は皆そうだが、黒くて円らな瞳が他の小鳥類より大きくて愛らしい。

 今年の夏は猛暑が続き10月中旬にも拘わらず夏のような日が続いた。渡り鳥や旅鳥はどうして正確な渡りの時期を知るのだろうか、このような異常気象の年には影響はないのだろうか。暖かいと言って油断せず、例年通り渡って行ったこのエゾビタキは、下旬に一気に訪れた真冬のような寒さに会うことなく、南に飛び去ったものと思われる。

(2010年10月31日記) 

野鳥観察の楽しみ