| 身近な野鳥 「幼鳥コウノトリの冒険」 | 2008年10月 |
東広島市の志和町にコウノトリがやって来た。早速発見者のTさんに案内してもらう。「昨日はこの辺りにいたのに、何処へ行ったのだろう。」と平野部ばかりでなく、谷筋まで探してもらうがなかなか見つからない。
もう飛び去ったのだろうかと諦めかけたとき、遠くの稲穂の向こうに頭が見えた。近づいて見ると、昨日の地点から約1kmも離れた休耕田で、近くには工場や民家が点々とある。コウノトリは絶えず歩きながら餌を啄み、時々、カエルやバッタを食べている。足輪にJ0006とあり、今年6月22日に巣立ったばかりの雌の幼鳥で、長崎までの冒険の帰りのようだ。
コウノトリは姿や形、それに体長も鶴に似ていて、昔の人にはよく間違われたようだ。しかし、黒い嘴は鶴より太くて長い。目の縁が赤い。長い足は淡紅色。体は白色で翼の先から後側(風切)が黒い。
コウノトリは国の特別天然記念物に指定されたが、国内での自然繁殖が一度途絶え、兵庫県豊岡市で人口繁殖により生まれたものが放鳥されている。飛来したコウノトリの親は共に2004年生まれで2006年に放鳥され、昨年も自然の中で巣作りをしているが、今年初めて一羽の子育てを成功させている。
('08年9月17日記)
| 身近な野鳥 「干潟のキアシシギ」 | 2008年09月 |
内陸部ではめったに観ることができないキアシシギが安芸津の高野川河口に拡がる干潟では、渡りの時期、普通に見られる。仲間といることが多く、8月27日の観察時には4羽の群れで、幼鳥も混じっていた。
他に、ソリハシシギ2羽、シロチドリ9羽、イソシギ2羽、トウネン幼鳥2羽を確認した。近くにウミネコが67羽、水浴びをしたり休んだりしていた。この時期、大沢田池からは姿を消しているカワウが2羽しきりに餌を捕っていた。
キアシシギはソリハシシギよりやや大きく、シロチドリやイソシギよりかなり大きく見える。真っ直ぐに長い嘴、頭から体の上面は灰褐色、顔から首にかけては白地に灰褐色の縦斑、胸から脇は横斑、白い眉斑、腹と下尾筒は白い。名前のとおり足の色が黄色。
満潮時には他の鳥たちと一緒に牡蠣いかだの上で休み、干潟が現れると、主に蟹を捕っている。じっとしていて、蟹が巣穴から出てくるのを見つけ、素早く駆け寄って捕まえる。穴に逃げ込まれても、嘴を差し込んで捕食する。
(2007年8月29日記)
| 身近な野鳥 「ブッポウソウの子育て」 | 2008年08月 |
東広島市にブッポウソウが来ているのを確認されたのが5年前、すぐ巣箱を近くに住む会員たちが設置した。しかし、その巣箱は利用されないままだった。次の年(2005年)2月、巣箱をあらかじめ10数か所設置した。5月にはブッポウソウがその内の一か所を利用し、7月には無事雛が巣立っていった。
同じ場所の巣箱を利用し始めて今年で4年目になる。さらに、巣箱の利用数も数か所に増加した。ある巣箱からの巣立ちを今年こそは観ようと数日通い、雛が巣箱の穴から上半身を出し、ゼエッ、ゼエッ、ゼエッ、ゼエッと餌をねだるところ(写真1)まで確認した。親はもう餌を与えていない、巣立ちが真近い。
ブッポウソウは東南アジアからやって来る夏鳥である。暗青緑色の顔と頭、嘴と足が赤く目立つ。体全体が青緑色で翼に白斑がある。大きさはハトよりやや小さい。親鳥は子育て中、見晴らしの良い高い木の先や枝に止まり、昆虫を見つけては空中捕獲する。巣の近くの電線や木に一旦帰り、あたりを警戒しつつ餌をさばいてから雛に与える(写真2)。
巣立ちが予想される日と次の日は用事があり行けなかった。3日後の早朝、現場を訪れたがもぬけの空で、辺りにもブッポウソウの姿はなかった。無事巣立ちしたものと安堵すると同時に少しさみしさが心をよぎった。
(2008年7月30日記)
2008年12月31日一部訂正
| 身近な野鳥 「お寺のアオバズク」 | 2008年07月 |
あたりが暗くなってくると、ホホッ、ホホッ、とやさしい声が聞こえてくる。東広島市の町なかの、或るお寺の境内。アオバズクが今年もやってきた。市の都市化は著しく、中心街は高いビルで埋め尽くされ、夜も明々と灯がともされる。
お寺の方は今年も来てくれるだろうかと心配されていたが、やって来た。今年で見納めになるかも知れないと、6月の中旬、お寺の子供会の人たちに、一人ずつそっと観てもらった。お昼寝をしていたアオバズクは厳しい目でこちらを睨んだ(写真)。
アオバズクはフクロウの仲間で、初夏東南アジアからやって来て子育てをする。黒褐色の顔と丸い頭、大きな丸い目は金色。胸や腹は白地に茶褐色の縦斑がある。昼間は大きな木の枝で休み、夜行動する。
大正の末期に植えられたと言うセンダンの大樹、地上4mくらいの所に大きな空洞がある。損傷が激しく、入口にひさしをつけてあるが、ここ2年は巣として使われていないそうだ。今年こそは、この雄の呼びかけに応えてくれる雌が現れてほしいものだ。
(2008年6月27日記)
| 身近な野鳥 「大きなシギのホウロクシギ」 | 2008年06月 |
大型なチュウシャクシギの傍に、さらに大きなシギがいる。大きく下に曲がった嘴、長い足、体全体が褐色に見える(写真1)。大きさも姿も良く似たホウロクシギかダイシャクシギのどちらかだ。じっくりと観察を続ける。羽を開いた。裏が褐色をしている。ホウロクシギだ(写真2)。裏が白いとダイシャクシギ。
内陸部の旧東広島市では今までホウロクシギの記録はなかった。しかし、昨年8月沿岸部の安芸津町で初めて報告された。これは広域合併のお陰である。私もこれを観察できたし、今年4月にも会えたのである。
ホウロクシギとダイシャクシギの区別は、羽の裏を観るのが確実であるが、他に、尾筒(お尻のあたり)が上下とも褐色であるとホウロクシギで、上下とも白いとダイシャクシギである。また全体的にホウロクシギの方が褐色味が濃い。
ホウロクシギは絶滅危惧種に指定されている。飛来数が少なく、また、旅鳥のため広島県を通過するだけなので、目に止まるチャンスが少ない。同じ旅鳥のダイシャクシギはレッドデーターブックに記載はないが、広島県での観察例はもっと少ない。
(2008年5月31日記)
| 身近な野鳥 「国賓級の来訪者コクガン」 | 2008年05月 |
国の天然記念物に指定されているコクガンが地御前海岸にいると連絡が入った。国賓級の来訪で、広島県にとって17年振り4回目のはずである。T氏の確認も得て、報道機関に連絡すると、すぐ現場に急行するとのこと。
海岸には記者の方が先に到着している。コクガンのことについて矢継早に質問される。通常は北海道や東北地方の限られた場所にのみ飛来して越冬する。それに、個体数も多くなく、絶滅危惧種に指定されている。そのような貴重な鳥がどうしてここに来たのか。
コクガンは一緒にいるカモ達よりも大きく、頭から首、背中にかけて黒い。尾筒が真っ白く目立ち、脇腹は白地に焦げ茶が混ざる。首に白い輪のように見える斑がある。首の前側上部の白斑の中には黒色の斑点が見える。首はあまり長くない。
コクガンは九州や山口県、鳥取県で迷鳥として記録がある。このコクガンも迷って廿日市市より南に行き、越冬を終わり、今一緒にいるヒドリガモ達と共に帰路の途中なのかも知れない。無事に極北の地まで帰り着いてほしいものだ。
(2008年4月17日記)
*このコクガンはNHK総合で4月11日午後6時半と9時前に放送され、中国新聞4月12日朝刊第1面に紹介。読売新聞には4月13日朝刊に掲載された。
| 身近な野鳥 「山裾のシロハラ」 | 2008年04月 |
この冬はシロハラによく出会う。久しぶりに寒い冬のお陰ではないかと思っている。その他、ミヤマホオジロ、キクイタダキ、ビンズイ、ルリビタキもそうである。ツグミの数も近来稀に見る多さである。
それに、トラツグミがすぐ近くの山裾に来た。今日もそれを見に谷あいの集落を訪れた。トラツグミはいなかったが近くにシロハラがいた。その向こうにツグミもいる。すると、シロハラが足早に近づき襲いかかる。ツグミも飛び上がり取っ組み合いになった。
シロハラはツグミの仲間で、姿や形、歩く姿もツグミによく似ている。しかし、よく見ると、シロハラは腹が白い、目の周り(アイリング)が黄色く、背中が暗い淡緑褐色に見えるものが多い。ツグミは目の上に淡黄白色の眉斑が目立ち、胸から腹にかけて、白地に黒い斑点が多くある。それに背中が赤褐色に見えるので区別できる。
シロハラもツグミ同様に地面の昆虫や虫を食べているようだが、開けた広い田んぼではツグミしか見かけない。しかし、このような山の近くの田や畑ではシロハラが来ているので、時々このような争いが起こる。ツグミ同士では取っ組み合いを見たことがないのに、どうしてだろう。
(2008年3月2日記)
| 身近な野鳥 「大きな群れのミヤマガラス」 | 2008年03月 |
この冬は時々雪が降り、5cm以上も積もる日が何回かあった。2月3日はやや少なく3cmの積雪。雪の中のミヤマガラスは綺麗だろうと思い、原地域を探した。幸い1月25日にいた場所の近くにいてくれた。
ミヤマガラスは電線に集団で止まるので見つけ易い。電線の上ではじっとして休むこともある(写真)が、ほとんどの時間を身繕いに使っている。時には頭をさげ、次に尾を高くあげ、扇のように広げてカラララ、カラララと鳴く。動作の割には小さな声である。
ミヤマガラスは普通のカラスと見過ごされ易いが、大きなカラスの群れがいると、ミヤマガラスではないかと疑うとよい。特徴はハシボソガラスよりやや小さく、嘴(くちばし)が尖っていて、根元が白い。おでこがハシブトガラスのように出っ張っているので見分け易い。
ミヤマガラスは冬鳥としてやって来るが、原地区から下見地区にかけてのような広い田んぼで餌を採る。規制緩和が進み、この地域にも家が建ち始めた。このまま開発が進めば、彼らの姿を見られなくのるのではないかと危惧される。
(2008年2月19日記)
| 身近な野鳥 「松林のビンズイ」 | 2008年02月 |
久しぶりに訪れた生態園の松林は綺麗に下刈されていた。足を踏み入れると、小鳥が数羽、地面からサッと飛び立ち、松の枝に止まった。スズメかと思ったが枝の上で尾を上下に振っている。ビンズイだ。
暫くすると、一羽、また一羽と地面に降りている。ゆっくりと近づいてみると、ビンズイは忙しく地上の餌を探して歩き回り、少しもじっとしていない。しかし、上空をヒヨドリが鳴きながら通り過ぎると、サッと身を伏せる(写真)。
ビンズイはタヒバリと本当によく似ている。ビンズイには眉斑の後ろに白色斑があるので区別される。頭から背中にかけてはオリーブ緑色に見え、タヒバリのオリーブ褐色よりやや緑色味が強い。胸から脇は淡バフ色で黒い縦斑がある。
ビンズイは冬鳥としてやって来て、このような開けた林でよく見かける。この時、他にアトリ、シメ、ヒヨドリ、メジロ、エナガ、コゲラがおり、それに細い川からコガモ4羽が飛び立った。近くのブドウ池を覗くと、その周囲の林の一画の立木が綺麗に伐採され、今まで多数来ていたカモが激減しているので驚いた。
(2008年1月17日記)
| 身近な野鳥 「内陸部にハマシギ」 | 2008年01月 |
内陸部にハマシギが訪れることは珍しい。シギ・チドリの観察者K氏によると、この11年間で今回が3度目だそうだ。その上、もしかしてサルハマシギかも知れないとの連絡を受け、急いで駆けつけた。
見ると、ハマシギ2羽が今期3度目になるウズラシギ2羽と一緒に、先を争うように、一心に餌を啄ばんでいる。ウズラシギと同様に忙しく歩き回り、頭を絶えず動かしているので、なかなか写真に納まらない。
ハマシギの冬羽は上面が灰褐色に見え、下面は白い。胸は白く、薄い灰褐色の縦斑がある。目の上の白い眉斑がめだつ。黒くてやや長い嘴は少し下方に曲がったように見える。足が黒いので、黄色の足のイソシギと区別できる。
この秋はジシギをはじめシギ・チドリの種類も数も少ない。夏は猛暑が続き、いつまでも残暑が厳しく、秋の訪れが遅かった。これも地球温暖化と関係しているらしい。このたびのハマシギやウズラシギの訪問が気象変動と関係していないことを祈っている。
(2007年10月20日記)



