身近な野鳥 「大きな冠羽ヤツガシラ」 2009年12月

野鳥観察の楽しみ(八十七)

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写真はヤツガシラ(‘09.10.28.山口県山口市)〔Nikon D300, Nikkor ED,AF-S 600mm,1:4DⅡ,(上)1/800秒, (下)1/640秒,f/6.3,ISO400,トリミング〕

 

  きらら浜自然観察公園でアカハシハジロを観察していると、ヤツガシラが常盤公園にいるとの情報が耳に入った。そこは直ぐ近くなので寄ってみることにした。桜の木の下にいるとの話であったので、正面入口から入り、常盤橋を渡って重い三脚を担いで坂道を登った。そこには数人のカメラマンがいた。

 ヤツガシラはどこにいるのか尋ね、木の上の葉蔭にいるのをやっと見つけた。カメラマン達は彼の飛び立つ姿を捕えようとじっとカメラを構えて待っている。慌てて私もカメラをセットした。しかし、ヤツガシラはくつろぎ、身繕いをしていて飛び立つ気配はない。カメラマン達には申し訳ないが、お陰でめったに見られない冠羽を立てたところが撮れた。

 ヤツガシラはハトより少し小さく、胸から上の部分が橙褐色、普通後頭部には冠羽がたたみこまれていて尖がり帽子のように見える(写真下)。広げると写真上のように実に見事で、名前の由来を想像させる。羽は黒色に白色の太い線模様で良く目立つ。嘴は細長く少し下に曲がっている。小さくて真っ黒い円らな目が愛らしい。

 ヤツガシラは昨年の12月6日に西条町三永水源地の芝生の上にいるところを発見されが、直ぐに逃げられてしまったとの事で、私は目にしていない。旅鳥なのでめったにお目にかかれない野鳥である。このように珍しい鳥であるにも拘わらず、常盤公園で会った個体があまりにも人を恐れない様子に驚いたが、これはヤツガシラの気質なのかも知れない。

(2009年11月28日記) 

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「迷鳥アカハシハジロ」 2009年11月

野鳥観察の楽しみ(八十六)

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写真はアカハシハジロ雌(‘09.10.28.山口県山口市)〔Nikon D300, Nikkor ED,AF-S 600mm,1:4DⅡ,1/1600秒,f/6.3,ISO400,トリミング〕

 

 アカハシハジロが山口県にやって来たとの情報が入った。山口県でも初認らしく、勿論、広島県では観察されたと言う報告を聞いたことがない。急いで行ってみる事にしたのが10月28日。10月23日に確認されたそうなので、まだ居てくれればよいがと思いながら早朝から車を走らせた。

 きらら浜自然観察公園に9時35分には到着したが、淡水池には既にバードウオッチャー数組が訪れており、盛んにカメラのシャッター音をさせていた。アカハシハジロはホシハジロの群れの中に居り、水中に首を突っ込み、水草のようなものを食べている。集団はやはり、こちらを気にかけているようで50m以上は離れている。

 このアカハシハジロは雌で、ミコアイサの雌に良く似ている。頭から背中にかけて茶褐色をしていて、頬から咽喉にかけて淡白色、全体に淡茶褐色をしている。嘴の先が橙色、大きさはホシハジロと同じくらいで、1羽だけなので目を離すとどこに行ったかすぐに見失ってしまう。

 アカハシハジロの雄は頭部が赤味がかった橙色、嘴と目が赤くて、首から胸が黒、背中は灰褐色をしている。ヨーロッパでは普通に見られるようだが、日本は飛来地から遥かに離れており、稀にしか見ることができない。しかし、琵琶湖には毎年雄1羽がやってきて、越冬しているし、この様子では、この雌もここで越冬してくれるかも知れない。

 

(2009年10月29日記) 

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「動きの速いトウネン」 2009年10月

野鳥観察の楽しみ(八十五)

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写真はトウネン幼鳥(‘09.9.28.岡山県玉島市)〔Nikon D300, Nikkor ED,
AF-S,600mm,1:4DⅡ,1/250秒,f/6.3,ISO400,トリミング〕

 

 トウネンは動き回るのが速く、カメラの画面になかなか納まらない。これ程近くに来てくれるとは有り難迷惑だ。今まで内陸部ではこのような経験はなかった。しかし、南岩国でもそうであったが、ここ岡山県の玉島でもうれしい悲鳴を上げた(写真)。また、トウネンはついばむ速度も速く、頭を上げ一息入れる僅かな瞬間にシャッターを切らなければならない。そのタイミングに苦労した。

 小型シギ類はこんなに早く啄み、何を食べているのかは長年の謎であったが、桑江さんらによるヒメハマシギを対象とした最近の研究で、彼らは干潟の泥の表面にできたヌルヌルの膜(バイオフィルム:微生物膜)を餌としていて、しかも、1日に必要な熱量の約50%を摂取していることが明らかになった。

 トウネンはシギ・チドリの中でも最も小さく見え、姿形がよく似ているハマシギより体がやや小さい。嘴の色はハマシギ同様に黒いが、ハマシギより短い。ハマシギの夏羽は腹が黒くなるが、トウネンの腹は白いままである。 両種とも高速で「つつき行動」をし、群れで行動するところもよく似ている。

 トウネンはハマシギ同様、春と秋の渡りの時期に旅鳥として観察される。昨日、ヘラシギが玉島に来ているとの情報を得て急行し、彼の出てくるのを一日中待ったが、一度のみ、頭だけこちらに向けた上半身が見えただけだった。その間、足元まで近づくトウネンを充分に観察することができた。

(2009年9月29日記) 

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「遊ぶホシゴイ」 2009年09月

野鳥観察の楽しみ(八十四)

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写真はホシゴイ(09.8.14.東広島市八本松町)〔Nikon D300, RV-Nikkor AF 80-400mm,1:45-5.6D,  1/400秒,f/6.3,ISO400,トリミング〕

 

 黒い棒を口にくわえて、飲み込む仕草をして吐き出す。また、それを嘴に挟み、くるりと回し、太い方から飲み込むような真似をする。棒が長くて咽喉にひっかかり、また吐き出す。どう見ても遊んでいるように見えるホシゴイを見つけた。

 ホシゴイはゴイサギの幼鳥で成鳥になるまでには約3年もかかる。どの動物の子どもも遊び心が旺盛で、これが狩りの練習にもなっているのだろう。成鳥のゴイサギは頭から背中が青黒色、下面が純白であるが、幼鳥は、これとは大きく異なり、全身褐色で、背中に白い斑点が星のようにちりばめられている。それでホシゴイと呼ばれる。

 ホシゴイは一年中身近にいる留鳥だが、成鳥のゴイサギと共に昼間は木陰やササ藪のようなところで休んでいることが多いし、夜行性の鳥なので目につくことが比較的少ない。しかし、このように昼間活動していることもあり、この個体は練習の成果があってか、ドンコ(写真)を次々と捕え、飛び込んできたトノサマガエルまで瞬時の内に捕えて、おいしそうに食べた。

 ホシゴイは嘴の先は黒いが根元は黄色、成長するに従って黄色の部分が狭くなり成鳥になると真っ黒になる。羽も腰のあたりが褐色から青黒色に徐々に変化し、目も虹彩部分の黄色が次第に赤く変わっていく。足の黄色は成長しても黄色だが、この幼鳥は濃い緑黄色をしていた。

(2009年8月30日記) 

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「シャレてるツバメ」 2009年08月

野鳥観察の楽しみ(八十三)

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写真は上:ツバメ雛、下:親ツバメ雄(‘09.7.19.安芸太田町)〔Nikon D300, RV-Nikkor AF 80-400mm,1:45-5.6D,  1/320秒,f/6.3,ISO400,トリミング,調整〕

 プロ野球選手のユニフォームから覗く首には、アンダーシャツのハイネックにチーム名や、背番号、自分の名前などが刺しゅうされている。カッコいいので草野球の選手にも流行っているようだが、生まれたばかりのツバメがこれを付けているのには驚いた(写真上)。

 7月中旬安芸太田町に行き、昼休憩をしたビルは四角形の三階建て、その中央部分は二階しかなく、天井は温室のようにガラス張り、三階からこの天井外側が良く見える。ここに巣立って間もないヒナがいて、父親(写真下)から餌をもらっていた。

 東広島では毎年、3月初旬から10月下旬までツバメを見る事ができる。コシアカツバメはツバメより一ヵ月遅れでやって来て、11月の終わり頃までいる。来る時は、両種ともバラバラで来ているようだが、帰りは大軍を作って帰る。

 ツバメは雌雄ともに、背面はつやのある黒色、顔も黒いが口の下から喉にかけて赤褐色をしていて、その下に黒色の首輪をしている。胸から腹まで真っ白で、飛んでいてもこの白色でコシアカツバメと区別できる。雄の尾は細くて長く、雌は太くて短い。

(2009年7月25日記)

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「魚を捕るミサゴ」 2009年07月

野鳥観察の楽しみ(八十二)

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写真はミサゴ(‘09.1.04.東広島市西条町)〔Nikon D300, Nikkor ED,AF-S 600mm,1:4DⅡ,1/160秒,f/6.3,ISO400,トリミング〕

 大沢田池でカワセミの姿を追っていると、上空に下面が白いワシ・タカの仲間が近付いてきた。ミサゴだ。停空飛翔したかと思うと直ぐ、ザブン!と水中にダイビングした。 水面に羽を広げ、顔は水面に浮いている。まるで溺れているようだ。次の瞬間勢いよく羽ばたき、水面より飛び立った。

 足にはしっかりと獲物を掴み、魚ともどもこちらを注目しながら飛び去った(写真)。ミサゴは池、湖、河川、海岸などで主に魚を捕らえて生きている。捕まえた魚は足場のよい杭や、木の枝に止まり、ゆっくりと食べる。

 ミサゴは頭の頂部が平らで白い。眼を通る黒い線(過眼線)は首の後ろへと延びる。金色の目、鍵形に鋭く曲がった嘴は勇猛で堂々としていて、ワシ・タカの仲間の姿にふさわしい。しかし、よくカラスにからかわれたり追っかけられたりしていて、気が優しいのではないかと感じられる。

 ミサゴは一年中見られる鳥で、準絶滅危惧種に指定されているが、この辺りでは最近数が増えている。東広島市でも営巣しているようだし、繁殖期には頻繁に餌を運んでいる姿をよく目撃するようになった。単に餌の魚が増えたと言うだけではなく、何か環境の変化を示しているのかも知れない。

(2009年6月28日記)

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「水辺の宝石カワセミ」 2009年06月

野鳥観察の楽しみ(八十一)

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写真はカワセミ雌(‘08.1.6.東広島市安芸津町)〔Nikon D100, Nikon ED,AF-S Nikkor 600mm, 1:4 D Ⅱ, 1/180秒,f/6.3,+0.3段、ISO200,トリミング〕

 今月は水辺の宝石と呼ばれるカワセミを書こうと思い、カモ達が立ち去り静かになった大沢田池を訪れた。思いの外、すぐ近くの柵の上段に止まっている。有り難い、と思う間もなく、私の姿に驚き、逃げられてしまった。私の鳥見ではよくあることだ。

 このような思い掛けない出会いがあることを予想し、すぐ対応出来るように予め準備して置かねばならないが、未だに出来ていない。それに、もう一つ大切なことは忍耐である。カワセミは待てば今の場所に必ずと言っていいほど戻ってくる。

 数年前あるテレビ局がこの池を取材に来た時、カメラマンがカワセミを見つけた。しかし、三脚をセットしているうちに逃げられてしまった。私が「2時間もすれば今の枝に戻ってくるでしょう。」と言うと、カメラマンはそこを動かず、2時間待ち続け、その姿をビデオカメラに収めた。しかしその間、雪はちらつき、スカート姿の若い女性アナは寒さの中で震えながらこれに付き合う羽目になった。彼女には誠に申し訳ない事をしたが、この二人を含む4人のクルーのチームワークとプロ魂に触れることができた。

 カワセミは誰もが写真では見たことがあるであろう本当に美しい鳥だ。大きな嘴、頭から翼上面が翡翠色をし、背中から尾先まで、鮮やかなブルー。下面は濃い赤褐色。真っ赤な足、首の横には純白の飾りがあり、実際にこの鳥を見たら、誰でも虜になってしまう魅力がある。

(2009年5月31日記)

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「足の長いツルシギ」 2009年05月

野鳥観察の楽しみ(八十)

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 ▲写真はツルシギ、成鳥冬羽('09.3.28.西条町)〔Nikon D300, Nikon ED,AF-S Nikkor 600mm, 1:4 D Ⅱ, 1/1000秒,f/7.1,ISO400,トリミング〕
     

お昼前、「ツルシギが1羽来ているよ!」と会の仲間から連絡を受けて、急いで駆けつけた。丁度、水の張ってある蓮田の畦で休憩中。せっせと羽繕いをしていたが、こちらの様子が気になるらしく動きを止め、緊張の面持ち(写真)。申し訳ない。

暫くすると、安心したかのように動き出し、蓮田の水の中に入った。足が長いので腹は水面より2cmあまり上にあり、水に浸かるようなことはない。畦から1mくらいの所を畦に沿って忙しく餌を啄みながら歩いて行く。

ツルシギの成鳥夏羽は頭から首、下面にかけて真っ黒になるのですぐ識別されるが、冬羽は頭から上面が他のシギ達と似た褐色をしている。しかし、嘴が長く、足が赤橙色をしていて長いのが特徴。同様に赤橙色の足をしたアカアシシギの冬羽の姿と似ているが、ツルシギの嘴の方が長くて細い。

旧東広島市でツルシギが確認されたのは3年振り、その時私は見ていない。じっくり観察しようと思い腰を据えた矢先、犬を連れて散歩される方があり、ツルシギはサッと飛び去ってしまった。辺りの蓮田や、水田を探したが見つからず、諦めて用事に出かけた。夕方再び辺りを探したがもう姿がなかった。

(2009年4月30日記)

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「林の中のミヤマホオジロ」 2009年04月

野鳥観察の楽しみ(七十九)

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 ▲写真はミヤマホオジロ('09.3.21.西条町)〔Nikon D300, Nicon ED,AF-S Nikkor 600mm, 1:4 D Ⅱ, ♂1/160秒,♀1/80秒,f/6.3,ISO400,トリミング〕
     

温暖化の影響か今年の春も暖かくなるのが早い。これでは、写真に収めたいと思っているミヤマホオジロが故郷へ早々と帰ってしまうのではないかと気が気ではない。それに、たとえ出会う事が出来たとしても彼らはすぐ藪の中に逃げ込んでしまう。

遠くからでも良いから、とにかく撮っておこうと、わざわざ三脚を担いで林の中に入った。暫く進むと直ぐにチッ、チッ、と微かではあるが透き通った声がする。この場所ではホオジロかアオジか、もしかしてミヤマホオジロかも知れない。

パラパラっと数羽の鳥が地面に刺さるように降りた。比較的まとまって行動しているのでミヤマホオジロの可能性が高い。急いで三脚を立て、シャッターを連射する。もっと良いアングルをと私が動いたので、あっと言う間に逃げ去った。

ミヤマホオジロは雌雄共にヒバリのような立派な冠羽があり、その下部が鮮やかな黄色をしている。特に雄(写真上)は黒い過眼線が太く、喉も黄色なので目立つ。雌(写真下)は全体に薄い茶色をしているが、雄同様に下部の黄色い冠羽が目印となる。

(2009年3月25日記)

 

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「林床のルリビタキ」 2009年03月

野鳥観察の楽しみ(七十八)

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 ▲写真はルリビタキ雄、成鳥('09.2.6.西条町)〔Nikon D300, Nicon ED,AF-S Nikkor 600mm, 1:4 D Ⅱ, 1/250秒,f/6.3,ISO400,トリミング〕
     

綺麗に手入れされた林床で落ち葉をかき分けて、餌を探しているルリ色の小鳥がいる。やっと会えた。ルリビタキの雄だ。しかし、思う間もなく彼は、私の気配を察し、さっと茂みの方へ飛び去り、枝に止まった(写真)。

ルリビタキはスズメくらいの大きさで、雄は体の上面がルリ色。真白な眉斑が目の上から後半は淡い青色へと変化し、凛々しさを醸しだす。下面は白色。脇が橙色。雌はジョウビタキの雌とそっくりだが、羽根に白斑がなく、尾羽が青色を帯びている。

ルリビタキの雄は成鳥になるのに2、3年はかかるらしく、若鳥はルリビタキの雌と区別が難しい。しかし、雌と比較し、尾の青色がやや濃く。肩がやや青味がかり、脇の橙色も濃い点で識別する。

昨年冬も同じ場所で何度かルリビタキには会ったが、雄の若鳥ばかりで、とうとう成鳥には出会えなかった。今年やっと雄の成鳥に出会え嬉しく思っているが、昨年来た同じ若鳥が成長して、また、やって来てくれたのではないかと思うと、嬉しさが倍増する。

(2009年2月23日記)

 

野鳥観察の楽しみ