身近な野鳥 「小さなキツツキ、コゲラ」 2009年02月

野鳥観察の楽しみ(七十七)

東広島の野鳥と自然に親しむ会
環境カウンセラー(環境省登録)
 新 名 俊 夫
 ▲写真上はコゲラ('09.1.17.西条町)〔Nikon D300, AF VR-Nikkor 80~400mm, 1:4.5~5.6D, 1/160秒,f/6.3,ISO400,トリミング〕
     

「タッタッタッタッタッタッタッ!タッタッタッタッタッタッタッ!」軽快なリズムで木の幹を叩く音が聞こえる。コゲラのドラミングだ。賑やかなエナガの集団がやって来た後、やや遅れて2羽でやって来た。松の幹に縦に止まり、くるくる横に廻りながら餌を捕っている。

コゲラは一年中見られる留鳥で、秋から冬にかけては、エナガの大群の中に混じって共に行動していることが多い。これを混群といい、他にシジュウカラやヤマガラなどが1羽から数羽、多くの場合混じっている。

コゲラはキツツキの仲間では最も体が小さく、スズメくらいの大きさである。背中は黒褐色で白い斑点が横に並び縞状に見える。下面は薄汚れた白色だが、胸の横から脇にかけて褐色をした縦斑がある。雄には後頭部に赤色の小斑があるが普通は見えない。

池のほとりの松林にやって来た先ほどのコゲラは「ギィーッ!、ギィーッ!」とドアが軋むような鳴き声を残しながら、エナガの大群の飛び去った方向へ後を追うように消えていった。本当にあっと言う間の出来事で、満足のいく写真も撮れなかった。

(2009年2月2日記)

 

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「お久しぶりホオジロハクセキレイ」 2009年01月

野鳥観察の楽しみ(七十六)

東広島の野鳥と自然に親しむ会
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新 名 俊 夫
    
ホオジロハクセキレイ雌('08.11.22.西条町)〔Nikon D300, AF VR-Nikkor 80~400mm, 1:4.5~5.6D, 1/1000秒,f/6.3,ISO800〕
    
ハクセキレイ幼鳥('08.11.22.西条町)〔Nikon D300, AF VR-Nikkor 80~400mm, 1:4.5~5.6D, 1/1600秒,f/6.3,ISO800,トリミング〕
     

 東広島市でホオジロハクセキレイに久しぶりに出会った。11月下旬、旧国道2号線沿いで街の中心から約2km離れた自動車販売店の店先だ。連れのハクセキレイ幼鳥と2羽で駆けるように素早く歩き廻りながら餌を探している。7~8mは人に近づくが、写真を撮ろうとするとだんだんと遠ざかる。とうとう裏の田に逃げて行った。

 国内にはハクセキレイの亜種が5種いるようだが、私はまだハクセキレイとホオジロハクセキレイの2種しかお目にかかっていない。ホオジロハクセキレイは以前、大沢田池の近くで冬になると見かけていたが、姿を消してから、もう20年近くになる。

 ホオジロハクセキレイは顔全体が白く、ハクセキレイの様な黒い過眼線がない。頭、背、腰、尾が黒く、下面は白い。胸に黒斑がある。雌の冬羽では背が灰色になることがあるそうだが、上の写真も灰色である。長い尾を上下に振るしぐさは他のセキレイ類と同じである。

 もう一羽も肉眼では顔全体が白いホオジロハクセキレイの様に見えたが、写真で見ると頬から上が淡灰色、目の後ろに過眼線のような白い線がある。ハクセキレイの幼鳥のようだ(写真下)。写真上のホオジロハクセキレイは、目の後ろ少し離れた所に小さな黒斑があり、ハクセキレイの名残を留めているように思われる。

(2008年12月31日記)

 

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「馴染み深いウミネコ」 2008年12月

野鳥観察の楽しみ(七十五)

東広島の野鳥と自然に親しむ会
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写真はウミネコの成鳥('08.11.16.安芸津町)〔Nikon D300, AF-S Nikkor ED600mm, F4DⅡ,1/2500秒,f/6.3,ISO800,トリミング〕
     

カモメの仲間のウミネコは東広島で見られる最も馴染み深い海鳥である。安芸津町の高野川河口に行けば、6月後半から7月を除いてほぼ一年中見る事ができる。潮があれば、どんなに浅くとも必ずやって来て、水浴びをする。

ウミネコは集団性が強く、いつも20~40羽の群れでいる。水浴びに飽きて誰かが飛んで行くと、みんな飛んで行ってしまい、沖に係留してある漁船や、ブイの上で休むか身繕いをする。飛んでいるとき「ミャー」と鳴くことがあり、ネコの鳴き声に似ているのでその名が付いた。

成鳥はハシボソガラスくらいの大きさで、背中は暗青灰色をしている。頭の色は夏には白く、冬には薄い褐色が混じる。黄色い嘴の先に赤と黒の斑紋があり、足が黄色なので、他のカモメの類と容易に区別できる。

営巣地は出雲大社の近くの経島(ふみしま)が良く知られている。しかし、繁殖のできる成鳥になるまでには3~4年かかり、それまでは全体的に赤褐色や灰色をしていて、嘴は青味がかった黄色で、先端部分に黒い斑紋が付いている。

('08年11月29日記)

 

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「大きなガンのオオヒシクイ」 2008年11月

野鳥観察の楽しみ(七十四)

東広島の野鳥と自然に親しむ会
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新 名 俊 夫
    
写真はオオヒシクイ('08.10.16、八本松町)〔Nikon D300、 AF-S Nikkor ED600mm、1:4DⅡ,1/1250秒、f/6.3、〕
     

国の天然記念物であるヒシクイが八本松町原に突然現れたとの情報が10月14日に入る。広島県では珍しい鳥で、今まで3回しか観察されていない。翌朝夜が明けると同時に現地を訪れる。この日はものすごい濃霧だったがすでに飛来していた。

ヒシクイは最近四つの亜種に細分類されている。仲間が日本鳥類保護連盟本部にさらに詳しい同定を依頼したところ、この鳥はオオヒシクイであると言う。オオヒシクイは日本海側に主に分布し、太平洋側への飛来は珍しいらしい。

オオヒシクイはマガンに似ているが一回り大きく、首が長い。特に、嘴が黒色で、先端近くが橙色をしている。亜種ヒシクイとの違いはオオヒシクイの方が嘴が長く、下嘴が薄い、嘴の上部の線がおでこの線と一直線につながっていることだ。

この2羽のオオヒシクイは多分番(つがい)であろう。いつも行動を共にしている。毎朝夜明け前にやって来て、田んぼの落ち穂を絶えず食べ続け、午前8時頃になると決まって何処かに飛んで行ってしまう。夜はどこかの池の中で寝るのであろう、胸にヒシの実や、水藻を付けていた(写真右)。

('08年10月29日記)
 このオオヒシクイは私の映像がNHKのアイラブビデオで放映されました。

 

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「幼鳥コウノトリの冒険」 2008年10月

野鳥観察の楽しみ(七十三)

東広島の野鳥と自然に親しむ会
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写真はコウノトリ('08.8.29、志和町)〔Nikon D300、 Nikkor VR80-400mm、F/4.5-5.6D,1/400秒、f/5.6、〕
     

東広島市の志和町にコウノトリがやって来た。早速発見者のTさんに案内してもらう。「昨日はこの辺りにいたのに、何処へ行ったのだろう。」と平野部ばかりでなく、谷筋まで探してもらうがなかなか見つからない。

もう飛び去ったのだろうかと諦めかけたとき、遠くの稲穂の向こうに頭が見えた。近づいて見ると、昨日の地点から約1kmも離れた休耕田で、近くには工場や民家が点々とある。コウノトリは絶えず歩きながら餌を啄み、時々、カエルやバッタを食べている。足輪にJ0006とあり、今年6月22日に巣立ったばかりの雌の幼鳥で、長崎までの冒険の帰りのようだ。

コウノトリは姿や形、それに体長も鶴に似ていて、昔の人にはよく間違われたようだ。しかし、黒い嘴は鶴より太くて長い。目の縁が赤い。長い足は淡紅色。体は白色で翼の先から後側(風切)が黒い。

コウノトリは国の特別天然記念物に指定されたが、国内での自然繁殖が一度途絶え、兵庫県豊岡市で人口繁殖により生まれたものが放鳥されている。飛来したコウノトリの親は共に2004年生まれで2006年に放鳥され、昨年も自然の中で巣作りをしているが、今年初めて一羽の子育てを成功させている。

('08年9月17日記)

 

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「干潟のキアシシギ」 2008年09月

野鳥観察の楽しみ(七十二)

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写真はキアシシギ('07.8.26、安芸津町)〔Nikon D100、 Nikkor ED600mm×1.4、F/5.6S,1/320秒、f/9、+0.3EV〕
     

 内陸部ではめったに観ることができないキアシシギが安芸津の高野川河口に拡がる干潟では、渡りの時期、普通に見られる。仲間といることが多く、8月27日の観察時には4羽の群れで、幼鳥も混じっていた。

 他に、ソリハシシギ2羽、シロチドリ9羽、イソシギ2羽、トウネン幼鳥2羽を確認した。近くにウミネコが67羽、水浴びをしたり休んだりしていた。この時期、大沢田池からは姿を消しているカワウが2羽しきりに餌を捕っていた。

 キアシシギはソリハシシギよりやや大きく、シロチドリやイソシギよりかなり大きく見える。真っ直ぐに長い嘴、頭から体の上面は灰褐色、顔から首にかけては白地に灰褐色の縦斑、胸から脇は横斑、白い眉斑、腹と下尾筒は白い。名前のとおり足の色が黄色。

 満潮時には他の鳥たちと一緒に牡蠣いかだの上で休み、干潟が現れると、主に蟹を捕っている。じっとしていて、蟹が巣穴から出てくるのを見つけ、素早く駆け寄って捕まえる。穴に逃げ込まれても、嘴を差し込んで捕食する。

 

(2007年8月29日記)

 

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「ブッポウソウの子育て」 2008年08月

野鳥観察の楽しみ(七十一)

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    0808buppouso02.jpg
写真1(‘08.7.19。東広島市)〔Nikon D300, AF-S Nikkor ED600mm, F4DⅡ×1.4,1/640秒,f/6.3,ISO400,トリミング〕
     
0808buppouso01.jpg
写真2(‘08.7.11。東広島市)〔Nikon 100, AF VR-Nikkor ED80-400mm, 1:4.5-5.6D, 1/1250秒,f/5.6, ISO400,トリミング〕

 東広島市にブッポウソウが来ているのを確認されたのが5年前、すぐ巣箱を近くに住む会員たちが設置した。しかし、その巣箱は利用されないままだった。次の年(2005年)2月、巣箱をあらかじめ10数か所設置した。5月にはブッポウソウがその内の一か所を利用し、7月には無事雛が巣立っていった。

 同じ場所の巣箱を利用し始めて今年で4年目になる。さらに、巣箱の利用数も数か所に増加した。ある巣箱からの巣立ちを今年こそは観ようと数日通い、雛が巣箱の穴から上半身を出し、ゼエッ、ゼエッ、ゼエッ、ゼエッと餌をねだるところ(写真1)まで確認した。親はもう餌を与えていない、巣立ちが真近い。

 ブッポウソウは東南アジアからやって来る夏鳥である。暗青緑色の顔と頭、嘴と足が赤く目立つ。体全体が青緑色で翼に白斑がある。大きさはハトよりやや小さい。親鳥は子育て中、見晴らしの良い高い木の先や枝に止まり、昆虫を見つけては空中捕獲する。巣の近くの電線や木に一旦帰り、あたりを警戒しつつ餌をさばいてから雛に与える(写真2)。

 巣立ちが予想される日と次の日は用事があり行けなかった。3日後の早朝、現場を訪れたがもぬけの空で、辺りにもブッポウソウの姿はなかった。無事巣立ちしたものと安堵すると同時に少しさみしさが心をよぎった。

 

(2008年7月30日記)

2008年12月31日一部訂正

 

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「お寺のアオバズク」 2008年07月

野鳥観察の楽しみ(七十)

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   0807aobazuku.jpg
写真はアオバズク。(‘08.6.14。東広島市西条町)〔Nikon D300,          AF VR-Nikkor ED80-400mm, 1:4.5-5.6D, 1/100秒,f/8, ISO400,トリミング〕

あたりが暗くなってくると、ホホッ、ホホッ、とやさしい声が聞こえてくる。東広島市の町なかの、或るお寺の境内。アオバズクが今年もやってきた。市の都市化は著しく、中心街は高いビルで埋め尽くされ、夜も明々と灯がともされる。

お寺の方は今年も来てくれるだろうかと心配されていたが、やって来た。今年で見納めになるかも知れないと、6月の中旬、お寺の子供会の人たちに、一人ずつそっと観てもらった。お昼寝をしていたアオバズクは厳しい目でこちらを睨んだ(写真)。

アオバズクはフクロウの仲間で、初夏東南アジアからやって来て子育てをする。黒褐色の顔と丸い頭、大きな丸い目は金色。胸や腹は白地に茶褐色の縦斑がある。昼間は大きな木の枝で休み、夜行動する。

大正の末期に植えられたと言うセンダンの大樹、地上4mくらいの所に大きな空洞がある。損傷が激しく、入口にひさしをつけてあるが、ここ2年は巣として使われていないそうだ。今年こそは、この雄の呼びかけに応えてくれる雌が現れてほしいものだ。

(2008年6月27日記)

 

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「大きなシギのホウロクシギ」 2008年06月

野鳥観察の楽しみ(六十九)

東広島の野鳥と自然に親しむ会
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0806hourokushigi01.jpg  
0806hourokushigi02
写真は上下ともホウロクシギ。('08.4.25。東広島市安芸津町)〔Nikon D300, AF-S Nikkor ED600mm, F4DⅡ×1.4,1/1000秒,f/8,ISO400,トリミング〕

大型なチュウシャクシギの傍に、さらに大きなシギがいる。大きく下に曲がった嘴、長い足、体全体が褐色に見える(写真1)。大きさも姿も良く似たホウロクシギかダイシャクシギのどちらかだ。じっくりと観察を続ける。羽を開いた。裏が褐色をしている。ホウロクシギだ(写真2)。裏が白いとダイシャクシギ。

内陸部の旧東広島市では今までホウロクシギの記録はなかった。しかし、昨年8月沿岸部の安芸津町で初めて報告された。これは広域合併のお陰である。私もこれを観察できたし、今年4月にも会えたのである。

ホウロクシギとダイシャクシギの区別は、羽の裏を観るのが確実であるが、他に、尾筒(お尻のあたり)が上下とも褐色であるとホウロクシギで、上下とも白いとダイシャクシギである。また全体的にホウロクシギの方が褐色味が濃い。

ホウロクシギは絶滅危惧種に指定されている。飛来数が少なく、また、旅鳥のため広島県を通過するだけなので、目に止まるチャンスが少ない。同じ旅鳥のダイシャクシギはレッドデーターブックに記載はないが、広島県での観察例はもっと少ない。

 

(2008年5月31日記)

 

野鳥観察の楽しみ

身近な野鳥 「国賓級の来訪者コクガン」 2008年05月

野鳥観察の楽しみ(六十八)

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新 名 俊 夫
0805kokugan.jpg  
写真はコクガン(‘08.4.11。広島県廿日市市)〔Nikon D300, AF-S Nikkor ED600mm, F4DⅡ×1.4,1/1000秒,f/8,ISO400,トリミング〕

国の天然記念物に指定されているコクガンが地御前海岸にいると連絡が入った。国賓級の来訪で、広島県にとって17年振り4回目のはずである。T氏の確認も得て、報道機関に連絡すると、すぐ現場に急行するとのこと。

海岸には記者の方が先に到着している。コクガンのことについて矢継早に質問される。通常は北海道や東北地方の限られた場所にのみ飛来して越冬する。それに、個体数も多くなく、絶滅危惧種に指定されている。そのような貴重な鳥がどうしてここに来たのか。         

コクガンは一緒にいるカモ達よりも大きく、頭から首、背中にかけて黒い。尾筒が真っ白く目立ち、脇腹は白地に焦げ茶が混ざる。首に白い輪のように見える斑がある。首の前側上部の白斑の中には黒色の斑点が見える。首はあまり長くない。

コクガンは九州や山口県、鳥取県で迷鳥として記録がある。このコクガンも迷って廿日市市より南に行き、越冬を終わり、今一緒にいるヒドリガモ達と共に帰路の途中なのかも知れない。無事に極北の地まで帰り着いてほしいものだ。 

(2008年4月17日記)

*このコクガンはNHK総合で4月11日午後6時半と9時前に放送され、中国新聞4月12日朝刊第1面に紹介。読売新聞には4月13日朝刊に掲載された。

 

野鳥観察の楽しみ