忍は「和」に通ず
―阿南準郎
「四季の会」という仲間の集まりがある。もう十五年にもなろうか。さまざまな職業の人たちが集まり、四季おりおりのうつろいに、手料理を食べ、飲みながらおしゃべりを楽しむ会である。とりたてて“規約”があるわけではない。気心の合った人ばかり。春と秋には、その仲間たちが友人、知人を招き、野外で音楽を聞く。演歌あり、歌曲、篠笛、ギター、サックス、三味線あり、さまざまな分野で活躍された人たちがボランティアで“出演”してくださる。
司会は、地元民放局のアナ。当意即妙の話術で会を盛り上げてくれる。ことしも四月二十五日、東広島市の志和の里で開催。
過日、その「四季の会」での打合せの際、ことしの目標、願いごとなどを一人ひとりが披歴し合った。「健康第一」「パソコンの習得」「感謝すること」「新しい仕事に挑戦」…などなどの言葉だった。そのなかで仲間の一人、阿南準郎さん(元カープ監督)が「親孝行すること」といった。
その言葉を聞いた一人が「当たり前のことじゃないですか」と口を挟んだ。
すると周囲の人がまた言った。「いままで言ったことは、みんな当たり前のことじゃないの」―。
たしかに考えてみると、みんな話していることは、当たり前のことばかりであった。が、それがなかなか出来ないから目標にも願い事にもするわけである。阿南さんは人一倍親孝行である。先年、母親を亡くしており、現在は老いた父親を一人、大分・佐伯の郷里に残しているだけに、父親への思い、孝養を尽くすことを吐露したのである。私は、カープ在籍中、この人の生活信条、プロ野球人生を垣間見ており理解できた。
赤ヘル黄金時代、古葉竹識監督は“名将”といわれた人。その監督からバトンを受けて後任監督に就任した阿南さんの言葉は、いまでも忘れない。「忍ぶ」であった。
三年後には、山本浩二選手の監督への路線が敷かれていた。こうした状況を認識していた阿南さんらしい言葉であった。最近、この人が色紙に書いてくれたのが、冒頭の言葉。―忍は和に通ず―である。阿南さんの佐伯鶴城高の後輩である野村謙二郎監督にも贈りたい言葉でもある。Vを期待するファンの声も高まっているが、要は、“外野の騒音”に惑うことなく「忍ぶ」であり、それがチームの「和」にも通ず―。赤ヘル復活は、広島人の夢である。
春や春 三寒四温 萌ゆるV
(風彦)