「接ぎ木」と「政治家」
―どんな花が咲き、果実をもたらすか―
接ぎ木。『つぎき』と読む。園芸家、果樹農園には、楽しみな手作業のひとつである。梅、桃、桜…の活性化と安定した品種改良への夢もある。
広辞苑には「植物で、ある個体の芽や枝を切りとって、根をもった他の個体の茎などに接ぎ、活着させること(中略)両者は一般に近種植物でなければ不可能(後略)」とある。
広島緑化センターの話によれば、樹木の形成層をぴったりとくっつけなくてはいけないし、その時期によって成果が左右されるそうだ。
この話を聞いて思ったのは、現在の政界の動向である。
自民党を離党した政治家が、新党結成の旗揚げをしており、その余波が政界の再編成への動きにも結びかねない―。永田町、霞ヶ関のスズメが騒いでいる。
自民党だけではない。首長時代の仲間たちまで新党を結成しており、政治の安定をめざすという。まさに永田町界隈に吹く政界の「季節の風」ともいえる。
つまるところ、現政党、現政権へのそれぞれの不満噴出の現象である。
私は政治評論家ではない。が、新党結成の意図は「日本の未来によき花実を…」を求める有志(憂士=勇士)たちの叫びとみる。過去の政界の歴史にも似た現象があった。その成果については、結局、政界の離合集散の結末におわった。
ここで接ぎ木の例えである。まず政界の「台木。“保守の木”に“革新の木”は、形成層の違いから失敗のもとに。同じ“保守の木”でも、形成層とをぴったりと接合。その時期が適合すれば、成功するという。政界でもその場の花実を求めるあまり、思考の差異に目をつむれば、破局を迎える。
これは論より証拠―。過去の歴史、いまでも卑近な例がある。
ただ一つの例としてその昔、田中角栄首相が「大同小異」の合言葉で日中国交正常化を実現させたとあるが…。
私の知人のYさん。現在八十四歳。現役時代、東洋工業(現・マツダ)の宇品工場(広島市南区)設計担当した人がこんなことを言った。「日本の政治家には糖尿病が多い。これでも国は危ないよ」―。たしかに糖尿病はやっかいな病である。最初は、国政をつかさどる政治家が、そんな病気になることへの警鐘だと思ったが、この人が皮肉ったのは、糖尿病の“糖”と新党の“党”であった。
来月七月には、参議院選挙。日本の政界にどんな“季節風”が吹くか。無関心になれない。
―政界や木もれび求め季節風―
(風彦)