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今月の言葉(8)

「寛容の世界」を学ぶ
政治家の言葉とマニフェストの因果関係

―風彦 

 過日、多田富雄さんを偲ぶ会が東京であった。多田さんは、今年四月二十一日、癌との闘病の末、亡くなった。七十六歳。日本の免疫学者であり、文筆家。多方面での活躍がみとめられ文化功労賞、瑞光重光章などを受賞された。数々の著書のなかで「免疫の意味論」にひかれた。
 専門的な免疫学は、素人には少し難しいが、人間の体には、悪い病原菌から守る“免疫体”が存在する。その“免疫体”を過剰に保護することは、逆に“免疫力”を弱める。だからある意味では“免疫体”と“非免疫体”とが共生することが大切である―といった概要。
 この話を知って藤田紘一郎さんの唱える“学説”を思い出した。
 藤田さんは、俗に“回虫博士”で知る人ぞ知る学者。日本の免疫学者で、東京医科歯科大学名誉教授。専門は寄生虫学、感染免疫学の大家。「体にいい寄生虫―ダイエットから花粉症まで」「清潔はビョーキだ」などの著書がある。
 この人の論拠は、戦後日本人が花粉症に悩まされるのは、回虫の駆除をやりすぎたからだ―という。後進国の人との比較実証から、回虫(寄生虫=サナダムシ)のもたらす功罪をあげている。医学的な論評をするのではない。
 私は思った。地球も人間の体と同じではないだろうか、多様な人類がさまざまな環境のなかで生きており、潔癖すぎる人種もおれば、そうでない人種もいる。一概にその人種の文明、文化度で“地球の健康度”をはかるべきではないだろう。人種にしても宗教にしても、その環境による違いを理解、共生していくことが、健康な地球―平和な地球―を保つことになる。
 六十五年前の八月を回想しながら二十世紀は、人類はともに生きることを忘れていた。
 この月は、日本民族にとっては、“祥月命日”―広島(六日)長崎(九日)は、忘れえぬ「原爆忌」―。十五日は慟哭の「敗戦忌」である。
 多田富雄さんには、免疫学を通して人類の共生する道を説いた著述もある。なかでも興味があったのは、哲学者であり、宗教学者の山折哲雄さんとの対談形式の共著「人間の行方」―二十世紀の一生、二十一世紀の一生―(文春ネスコ)だった。あらためて「寛容の世界」につい考えさせられた。

(風彦)

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2010年08月01日 17:54に投稿されたエントリーのページです。

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