〝老春〟を楽しもう!
〝敬老の月〟に寄せて
―風彦
五十をすぎると「回想年齢」になるそうだ。ある雑誌を読んでいたら、そんな記事があった。著者は村田幸子さん。元NHKの婦人記者で、論説委員を務めていた人。現在は福祉ジャーナリスト。各地で講演、著述活動をしており、ラジオ、テレビでもその論説には興味があった。昭和一桁生まれの私は、後期高齢者で「回想年齢」の該当者のひとり。
「お年寄りは、とかく口説くなる。といって老いた人の話は敬遠しないで聞いてあげましょう。歳を取ると、話すことが何より楽しみなのだから」と、敬老精神を訴える。
村田さんは、この「回想年齢」時代の人を認知症から守るための認知症予防に取り組んでいるドクターを紹介していた。
国立長寿医療センター医師、遠藤英俊先生は認知症の専門家。愛知県師藤町(現・北名古屋市)で認知症の人だけでなく、高齢者を対象に「回想法」を取り入れている。高齢者にとって昔懐かしい生活道具などを使って、かつて自分たちが体験したことを語り、過去に想いをはせたりすることにより、脳を活性化させて自分を取り戻そうという方法。
昔習った教科書、昔歌った唱歌、童謡などを合唱することが認知症の予防に役立つともいう。こんなエピソードを聞いた。
老人施設の人たちの、たっての願いから、生前の演歌歌手の大御所と永六輔のコンビでみんなで歌える歌を作った。その披露をするために、施設を訪問した際、会場に一人遅れた車椅子の老婦人が、日露戦争当時の歌を歌いながらやってきた。すると会場のみんなが、一斉に合唱しはじめた。永六輔さんたちは結局、苦心の新曲発表をとりやめたそうだ。
私たちの仲間が集まる「四季の会」がある。気心の知れた者ばかりで、月に一度、世話人会を開く。その席で代表のYさんは、童謡、唱歌の詩を配布。そしてみんなで合唱する。
また、難解な漢字の読み方や、時には身近な医学にかかわる記事なども紹介してくれる。そのあとが楽しみ。女性たちの手作りの料理を味わう。忘れていた家庭料理とおふくろへの郷愁のひと時・・・。味覚の回想におしゃべり。それになにより、人と人との出会いに、こころの花を咲かせて〝楽習〟(学習)できる。
これもある意味では、遠藤英俊先生の説く「回想法」だろう。九月二十日は「敬老の日」。高齢者の存在が問われる日。世の諸氏よ。それぞれの〝老春〟を楽しもうではないか。
―老いらくの恋の目覚めや宿の秋―
(風彦)