【監督】トーマス・アルフレッドソン
【出演】カーレ・ヘーデブラント、リーナ・レアンデション
静謐…そんな単語があるのを思いだすほどに静かなオープニングに心うばわれる。長く暗い北欧の冬にしんしんと雪がふる中、出会いと惨劇がはじまる。12歳のオスカーは学校で陰湿ないじめをうける友達のいない孤独な少年。ある日隣の部屋に越してきた美少女エリに心ひかれるが、いきなり友達になるのを拒絶される。それでも謎めいた彼女への興味をおさえきれない。そして町では猟奇殺人がおきる…エリは永遠に12歳のままのヴァンパイアだった!
徹底して“少年”目線でみた世界感が異色で出色。吸血鬼ものなのでホラーシーンや流血もありますが、オスカーにとって苛めっ子たちの暴力の方がはるかに怖い。生理的な好き嫌いでつきすすむ子供の残酷さに、思わず自分の過去をふりかえりぞっとする人も多いのでは。社会やモラルに縛られない人間でないエリに(こそ)心をひらくことが自然に納得できてしまう、演出のうまさが光ります。それぞれ孤独を抱え込む二人が壁をたたきモールス信号で「会話」するシーンに切なくもほっとさせられますが、果たして二人に幸せはあるのか? 不気味な伏線もあり一筋縄ではいかない余韻のある映画です。(neo)