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今月の言葉(9)

「大人の知恵」 ―温故知新―

― シェイクスピアから学ぶことは―

 図書館は、さまざまな「知識」と「知恵」の宝庫である。過去、現在、未来につながる人類の文化の歴史の流れを学ぶことができる。大型書店とは違った独特の雰囲気があり、存在感もある。私の利用する広島市立中央図書館には、986,369冊の蔵書があるという。そのなかの一冊に興味のある書籍をみつけた。
 「シェイクスピアに学ぶ老いの知恵」。著者は英文学者、小田島雄志。知る人ぞ知るシェイクスピア研究の第一人者。「マクベス」「ハムレット」「リア王」など三十七編の作品を全訳した人。その作品を通し日常生活での人生観、人間観のエッセイ。
 著書のまえがきに「今の世の中、価値の多様化(ぼくに言わせると、カオス化)が言われて久しいが、唯一絶対の価値基準などありえない時代にめぐりあわせたぼくたちにとって、シェイクスピアはよき先輩である。そしてこのような時代にどういきていけばいいか、それとなくだが示唆してくれている」(後略)
 私はシェイクスピア通でもなければ、英文学者でもない。が、彼の書き綴った演劇書籍を二、三触れた程度の知識しかない。ダイジェスト版でのストーリーを知っているくらい。波乱万丈の物語もさることながら、登場する人物の台詞―。諺、格言、蔵言…の数々に興味をもつ。それらの「言葉」が人生の指針にもなるから。
 手元にある古い辞典―「ことわざ故事・金言小辞典」(発行所・福音館書店)のなかでもシェイクスピアの言葉がのっている。そのなかからあげてみた。
 「平和は芸術の保母」「すべての人を愛し、わずかの人を信じてなにびとにも悪をなすな」「希望は思想なり」「安心。それが人間の最も安価な敵である」―。
 前述の小田島雄志先生の著書のなかに「大人の知恵」に『リア王』の劇中、リア王と道化師との会話。「年をとるのは知恵がついてからじゃないといけないんだよ」と道化師が自分を卑下するリア王に話すくだりがある。この言葉は薀蓄がある。年寄りには、それなりの「知恵」があるということでもあるまいか。
 九月の「今月の言葉」―「大人の知恵」―の標題にしたのもこの月の十五日は「敬老の日」。年寄りを敬う意識を強調しようという国民の祝日。しかし急激な少子高齢化に年寄りへの風当たりも違ってきた。政府の高齢者対策にもその一端がうかがえる。経済社会の変動による福祉行政の見直しもやむをえない事情(政情)もあるだろう。が、私は高齢者の一人として考えた。
 高齢者にもそれぞれの貧富の格差がある。当然、意見、異見も百出…。ここで故ケネディ米国大統領のあの有名な就任演説。「国に求めるのではなく、国のために何をすべきか」―。年老いた人でも「知恵ある人は知恵をだし、体力、気力ある人は額に汗を出す」―。この施策の環境を整備充実させるべきだろう。富の格差による社会不安の改善策の一つには、富裕者層の社会ボランティア(寄付金制度を含めて)の活動の啓蒙を。現在の若者たちも「大人の知恵」を学ぶべきだろう。
 古きを尋ねて新しきを知る―「温故知新」―。である。若者たちに尊敬される「大人」になる意識をもつこと。お互いに理解し合う。そこから日本民族の再生、発展が生まれる、と確信したい。最後に「ハムレット」の有名な台詞。「TO BE OR NOT TO BE」―。(人生は、生か死か=意訳、諸説あり)

(風彦)

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2013年09月03日 17:11に投稿されたエントリーのページです。

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