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今月の言葉(10)

「スポーツ天国」 

― 東京五輪賛歌の有情から―

東京五輪招致決定から日本は祝賀ムードにわいている。二度目の東京での開催である。デフレ不況の風を五輪風で吹き飛ばそう―。ゆきさき不透明な、政治、経済、社会…の思惑がうずまく。そんなある日、大学の先輩から一通の葉書が届いた。

―お元気ですか―「祝」 Discover Tomorrow Tokyo 2020 Olympic Games
身心一如 元気一番 福以徳招
とあった。律儀な方で四季折々の便りを下さる。広島市在住で八十半ば過ぎてもお達者。その後日、今度は千葉在住の私の現役時代の上司だったKさんに、東京オリンピック招致決定の歓びを伝えた。
Kさんは、当時(1964年)開会式の記事を書いた名文家。例の雨の神宮競技場で行われた学徒出陣の閲兵式(1943年)に参加、中国大陸への戦場へ。この人は、戦前、東京で開かれるはずだった五輪の日本代表のボート選手だった。それだけに、誰よりも感慨無量であった。 
当時の新聞資料を読み返すと胸を打つこの人ならではの一文があった。
「学徒兵選手OB」―五輪開会式をみて―。
「たしかにあるいているのは、世界のあらゆるところからやってきた青年であった。まぎれもなくこれはオリンピックの入場行進であった。そしてここは疑う余地もなく、日本の神宮フィールドである。オリンピックはとうとう日本にやってきた」
(以下攻略)
いま九十近いKさんは、喉頭ガンの手術を受けて声を失いながらも医療機器を通じて再び東京での五輪開催を喜ぶ声を伝えてくれた。
「つぎのオリンピックまで生きるよ」。
Kさんと同じ思いで余生の道標になるだろう。私もその一人。
七年後の2020年。日本はどのような変革、発展をするだろうか。社会も経済も科学文明も…。さきの東京五輪をきっかけに上昇気流に乗って世界へ羽ばたいた。当時の社会背景とは比較にならないほどのグローバリズムへの機運も。しかし、それでいてスポーツは、国威高揚の手段とされそう。五輪の舞台はその恰好の場。過去の五輪の歴史にもある。戦前のベルリンオリンピック。ナチズムの台頭で「平和から戦争へ」―。とかくスポーツは「勝敗の感動」の美名より、政治に利用される。二度目の東京五輪はどうだろうか。
オリンピック憲章には、「人間の尊厳保持と平和の社会を推進する。人種や政治、性別、国や個人に対する差別はいけない。」(要約)とある。が、アメリカと中東の関係。アフリカの各国の国家意識の変化、台頭する中国などの動向…。渦巻く五輪の持つ宿命かもしれない。かくいう日本は―。
さきのIOC(国際オリンピック委員会)招致委員会での素晴らしいプレゼンテーションで示したように「お・も・て・な・し」のこころで世界各国の人たちを招く心遣はできる。が、そのためにはまず原発事故の汚染水流失の問題解決。同時に震災地の復興、新エネルギーの開発、東京の再開発などを早急にすすめること。日本の卓越した技術力を発揮すれば、この分野でも「金」メダルを。そしてその技術力で世界各国に貢献することが、五輪は日本の「スポーツ天国」への道。
Discover Tomorrow Tokyo 2020 Olympic Games
  (風彦)

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2013年10月11日 10:10に投稿されたエントリーのページです。

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