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身近な野鳥 「叫ぶセンダイムシクイ」 2010年05月

野鳥観察の楽しみ(九十二)

東広島の野鳥と自然に親しむ会
環境カウンセラー(環境省登録)
新 名 俊 夫
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写真はセンダイムシクイ(‘10.4.18.東広島市豊栄町)〔Nikon D300, Nikkor ED,AF-S 600mm,1:4DⅡ, 1/2000秒,f/6.3,露出補正+0.7,ISO400,トリミング〕

 

 「チョチョビー、チョチョビー、ジー。」と山の中腹で鳴くと言うより、叫んでいるように聞こえる鳥の声に誘われ、春のバンディング(鳥の標識調査)の場を離れて、一人で山道を行く、だんだん声が大きくなる。突然、葉を落とした一本の樹の枝の中を移動しているセンダイムシクイの姿を確認した。

 色や形や大きさ、白くて長い眉斑などウグイスそっくりであるが、腹が白く見える。腹が草色に薄汚れているウグイスと違っている事は分かるが、ウグイス類、とりわけムシクイの仲間は皆よく似ていて識別が難しい。ただ鳴き声だけは特徴があるのではっきりと同定出来る。

 私には冒頭に記述したように聞こえたが、一般には「焼酎一杯グイーッ。」などと聞きなされている。ウグイスと同様に声は良く耳にするが、姿を見ることは稀である。特にセンダイムシクイは夏鳥であるので、樹木の葉が茂り姿を隠してしまい、なかなか見る事の出来ない鳥であると言われている。

 毎年この時期に行われるバンディングの時に、食べさせて貰うコシアブラの新芽は今春の天候不順のせいでいつまでも寒く、新芽の伸びが悪かったので、とうとう食べさせて頂けなかった。しかし、樹木の葉が出そろっていないのが幸いし、センダイムシクイの姿を写真にも撮り、じっくりと観察も出来た。

(2010年4月27日記) 

野鳥観察の楽しみ

傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学 2010年05月

縄文塾塾長 中村 忠之

縄文塾  

夏井睦 著  光文社新書

 昨年の2月、肺炎の後で発病し、同11月に再発して手術を行なった「MRSA=耐性黄色ブドウ状菌(院内感染症)」に言及しているということで、友人より紹介頂いた一冊だが、常識を覆すタイトルが気に入って早速購読した。もしそれが事実なら、医師もだが私たちはずっと間違いを犯してきたことになる。
 もしそれ(傷の消毒をしないこと)が事実だとすれば、なぜ日本中の殆どの外科・整形外科の医師は、なぜそんな間違いをいまだに続けているのだろうか。たとえば著者が外科医から形成外科に変わったのだが、外科では患部を乾燥させることが常識なのに、形成外科では濡らす、湿らすことが常識だという。
 著者は、医師がジャンルによって、それぞれの慣習に従い、同じものに違った対応することをみても、「医学は決して科学ではない」と喝破する。
 筆者がまだ外科医の時代、ある病院でインターンから傷や火傷の治療に「湿潤療法」という治療法があるという話を聞いて興味を持って実際に試したところ、顕著な効果が見られたという。
 その後学会で発表して注目されるが、だからといって従来の仕組みを打破することは決して出来なかったこと、そして同じ病院で医師によって違い治療法を行う事への不信感の醸成を招いたところから独立することを選び、且つ学会発表からインターネット上での発表・啓蒙にシフトして今日に到っている。
 なお著者のホームページ『新しい創傷治療』
    ⇒http://www.wound-treatment.jp/
は、訪問数600万にあとわずかと迫るマンモス・サイトである。
 湿潤療法とは、患部を消毒しないことと併せ乾燥させないことがポイントだという。著者はその1例として、火傷をした際にまず水で冷すと痛みが止まり、自ら患部を出すとまた痛み出すことを見ても、「傷は乾燥させるな」ということの正しさを指摘する。
 ごく軽い傷を家庭で湿潤療法をするためには、傷の上に貼る治療用被覆材がひつようだが、同サイトによると、調剤薬局・院内薬局(ただし店舗限定)で処方箋なしに購入できる「プラスモイストP」、一般薬局で購入できる「ハイドロヘルプ」バンドエイドの「キズパワーパッド」「ケアリーヴ バイオパッド」、同じく「ケアリーヴ 血を固めるタイプ」などがある。
 ごく軽い傷の場合は、傷口に白色ワセリンを塗布し、上に上記パッドを貼るといい。なお、「最長5日」は大丈夫とあっても、原則毎日張り替える方がいいということだ。
 なお、近く最盛期が予想される「花粉症」だが、目の周囲や鼻の下辺りに、白色ワセリンを塗っておくと、ッ症状が軽減するそうで、該当される方はぜひお試しあれ。

 さて、本題の「 傷は消毒するな」について、たとえば腹部の手術で、胃や腸の縫合部分は消毒しないのに、なぜか皮膚・筋肉の縫合部分は消毒するの矛盾しているではないか、という。腹部縫合したら胃や腸の消毒が出来ぬからというのは、本末転倒であり、結果として消毒しなくても大丈夫という事を示しているのだと指摘する。
 またもっと単純な例で、「痔」で、排泄物と常に接触する肛門部を消毒しないのに、それが致命的感染症に罹らないではないかという。言われた見ればその通りである。
 著者はまた、昨今の清潔志向・抗菌物質依存傾向にも警鐘を鳴らす。著者の仮説では、
「細胞壁を失い、脆弱な細胞膜が露呈した多細胞生物が生き残るために、自分の皮膚や粘膜に、大きな危害を与えない細菌を棲まわせることで、彼らの働きで病害菌からの防御を行なってきた」
というもので、抗菌物質による手や喉の消毒や洗い過ぎは、かえって感染症を増やす作用に結びつく恐れがあるという。
 さて普段はごく弱くておとなしいMRSAだが、身体が弱ったときとか、他の感染症で抗生物質を多用した際などに、いたずらをすることが知られている。
 著者によると、病院内とか自分の身体の中に助剤するMRSA(緑膿菌)が、抗生物質に対する抵抗性を獲得する代わりに、その作用を保持するために、分裂・増殖する機能を著しく犠牲にする必要がある、実はひ弱な菌なのだという。
 最後の部分で、同じく仮説としながも、「脳は皮膚からつくられた?!」のだという。詳述は避けるが、なかなか説得力のある論旨で、それだけでも一読に値する一冊である。

感銘の一冊

アリス・イン・ワンダーランド 2010年05月

【監督】ティム・バートン
【出演】ジョニー・デップ ミア・ワシコウスカ ヘレナ・ボナム=カーター

 少女の夢を描いた物語では「不思議の国のアリス」の方が「オズの魔法使い」より好きです。不思議の国の気味が悪くて訳の分からないところや、アリスがわがままで生意気なところがいいと思う。そんなアリスが成長してワンダーランドを再び訪れたら? というのがこの映画です。
 不思議の国は問題を抱えていました。それを打開する予言の書に書かれている勇者は自分…どうして私が? と戸惑いながら伝説の剣を手にした19歳のアリスの冒険が再び始まります。平和をもたらすために闘ったけれど、ワンダーランドでは“いつも大きすぎるか小さすぎる”アリス。本当の居場所を求めて次の冒険を始めるために、彼女はウサギの穴の向こうに戻っていくのでした。もしかしたらそこは、帽子屋のお茶会よりもクレイジーな世界なのかもしれません。(nao)

キネマ見ましょか

タニシ君が行く! Re 2010年05月

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タニシ君が行く!

社員ひとこと 2010年05月

新入社員です。フレッシュです。元気と笑顔で爽やかな風吹かせます! (デミ)

フレッシュでピチピチな新入社員です。失敗にもめげずに頑張るぞー。 (サン)

今年から社会人。ハラハラドキドキ。でも元気を出して突っ走ります。 (G)

温かかったり寒かったりで何か変な気候だと思います。 (K)

学生時代の友人達が所帯持ちになったせいか、GWに遊ぶ予定が無い。 (山本)

山崎直子さん、主婦で母で宇宙に行ける素晴らしい!!私も何か出来るかな? (Q)

SETSTOCK‘10に行こうかどうか悩み中の今日この頃・・・( ̄ヘ ̄) (お)

お芝居の公演日が決まった。7月10・11日、「ミス・ダンデライオン」SFです。 (伸)

野村カープ、サンフレッチェ今年こそ優勝『1位』になるように頑張ってね (S4)

色とりどりの花に囲まれて幸せな気分になります… (モン)

春の嵐、5月になったらおさまるか? (哉)

『スティ・アホワィル』には驚いた。まだまだあるぞ、未知なる名曲 (北)

今年のゴールデンウィークもどこにもいけそうにないなぁ。 (千)

5月の目標は、机の中の整理整頓です。 (朝)

最近、3D映画を見に行く機会が多いです。映像はすごいがあれは目が疲れますね… (元)

料理のセンスに乏しい事が発覚しました(; ;) (B)

ゴールデンウィークは車に乗らずにおこう。 (高)

庭のスズランとボタンが満開だ。山椒も新しい葉を出した。 (秀)

社員のひとこと

今月の写真 2010年04月

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【ガイマイゴミムシダマシ】朽木の下に体長8mmの小さな昆虫を探し出した。 
(2010.3.15 東広島市で撮影)
東広島の野鳥と自然に親しむ会 環境カウンセラー(環境省登録) 新名 俊夫

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今月の言葉(4) 2010年04月

忍は「和」に通ず

            ―阿南準郎 

 「四季の会」という仲間の集まりがある。もう十五年にもなろうか。さまざまな職業の人たちが集まり、四季おりおりのうつろいに、手料理を食べ、飲みながらおしゃべりを楽しむ会である。とりたてて“規約”があるわけではない。気心の合った人ばかり。春と秋には、その仲間たちが友人、知人を招き、野外で音楽を聞く。演歌あり、歌曲、篠笛、ギター、サックス、三味線あり、さまざまな分野で活躍された人たちがボランティアで“出演”してくださる。
 司会は、地元民放局のアナ。当意即妙の話術で会を盛り上げてくれる。ことしも四月二十五日、東広島市の志和の里で開催。
 過日、その「四季の会」での打合せの際、ことしの目標、願いごとなどを一人ひとりが披歴し合った。「健康第一」「パソコンの習得」「感謝すること」「新しい仕事に挑戦」…などなどの言葉だった。そのなかで仲間の一人、阿南準郎さん(元カープ監督)が「親孝行すること」といった。
 その言葉を聞いた一人が「当たり前のことじゃないですか」と口を挟んだ。
 すると周囲の人がまた言った。「いままで言ったことは、みんな当たり前のことじゃないの」―。
 たしかに考えてみると、みんな話していることは、当たり前のことばかりであった。が、それがなかなか出来ないから目標にも願い事にもするわけである。阿南さんは人一倍親孝行である。先年、母親を亡くしており、現在は老いた父親を一人、大分・佐伯の郷里に残しているだけに、父親への思い、孝養を尽くすことを吐露したのである。私は、カープ在籍中、この人の生活信条、プロ野球人生を垣間見ており理解できた。
 赤ヘル黄金時代、古葉竹識監督は“名将”といわれた人。その監督からバトンを受けて後任監督に就任した阿南さんの言葉は、いまでも忘れない。「忍ぶ」であった。
 三年後には、山本浩二選手の監督への路線が敷かれていた。こうした状況を認識していた阿南さんらしい言葉であった。最近、この人が色紙に書いてくれたのが、冒頭の言葉。―忍は和に通ず―である。阿南さんの佐伯鶴城高の後輩である野村謙二郎監督にも贈りたい言葉でもある。Vを期待するファンの声も高まっているが、要は、“外野の騒音”に惑うことなく「忍ぶ」であり、それがチームの「和」にも通ず―。赤ヘル復活は、広島人の夢である。
 春や春 三寒四温 萌ゆるV

(風彦)

今月の言葉

雑感(4) 2010年04月

代表取締役 田河内秀子


 「賢い人間の生涯とは、子どもの時には節度を学び、青年時代には感情をコントロールすることを学び、中年になってからは正義を学び、老年になってからは良き助言者になることを学ぶ。そして悔いなく死ぬこと」ドクトリアの都市遺跡「アイ・ハヌーン」キアヌス霊廟の碑文だそうです。何千年前の碑文なのかは知りませんが、人間は大昔から悔いのない賢い生涯を送りたいと思っていたのですね。
 「節度」って何でしょう。三省堂の国語辞典では「やりたいことを抑える態度」漢字林では「抑制のきいた態度」とあります。子どもの自由でいきいきとしたところを伸ばしながら、時と場所によって、態度や言葉をわきまえることを、私たち大人は子どもたちにきちんと教えているのでしょうか。子ども時代に習慣として身につけないと大人になってから大変苦労します。
 「感情のコントロール」はどうでしょうか。スイスの哲学者カール・ヒルティはこう言っています。――環境があなたに持ち出す要望や要求は毎日山のようにあるわけだが、それに対してにこやかな微笑と快諾をもって答えることもできれば、多少不機嫌ないやいやで答えることもできるのだ。つきつめた話し、どの態度でのぞんでも、あなたにとってたいがい同じ結果になるのであり、どちらを取るかは単に習慣の問題にすぎない。しかし、微笑と快諾をもってするという習慣のほうが、まわりのすべての人々にとってありがたいのである――  どんなに自分にとって不愉快なことであっても微笑と快諾をもって他人と接するのは単なる習慣にすぎないのだから、変えればいいと簡単に言っています。そう簡単なことではないと思えますが、これを青年時代に身につけておくと、周りの人からあてにされる、悔いのない人生を送れそうですね。
 今、子どもへあるいはお年寄りに対する虐待が大きな問題になっています。虐待までいかなくてもいじめの問題は以前から深刻です。愛子様が学校へいけないという話題も大きく報道されています。
 もうすっかり大人になった私たちは、まずは基本の「節度」と「感情のコントロール」が身についているかどうか自問し、「正義の人」と「良き助言者」を目指してまいりましょうね。

雑感

身近な野鳥 「八代のナベヅル」 2010年04月

野鳥観察の楽しみ(九十一)

東広島の野鳥と自然に親しむ会
環境カウンセラー(環境省登録)
新 名 俊 夫
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写真はナベヅルの家族(‘10.3.12.山口県周南市)〔Nikon D300, Nikkor ED,AF-S 600mm,1:4DⅡ, 1/1000秒,f/7.1,ISO400,トリミング〕

 

 山口県八代のツルがそろそろ北帰行するとメールを貰った。啓蟄も過ぎたのに雪の降る悪天候が続き、やっと明日から晴れとの天気予報。急遽、八代行きを決めた。翌朝現地には11時頃到着、駐車場の掲示板に「本日ツル10羽」とある。確か今期は5羽の飛来ではなかったかと思いながら監視場に近づくと、周りにはカメラやテレビカメラがずらりと並んでいた。

 前日の午後5時半頃、九州出水のナベヅルと思われる4羽が迷ってここに来たのが確認された。1988年以来22年ぶりの事だそうだ。普通、ツルは一気に朝鮮半島まで飛んで行くもので、途中で寄り道をすることはないと言う。「良いところに来られましたね。」とメールの主。彼は1週間前から北帰行の瞬間を撮ろうとずうっと張り込んでいるとのこと。

 ナベヅルは全体的に灰黒色。首から上が純白色で、嘴の根元から頭丁部にかけて、黒色の斑点とそれを囲むように暗赤色の小さな模様がある。目が赤く、嘴は黄灰白~紅灰白色に見える。長い足は黒色。縄張り意識が強く、新入家族の4羽は、昨年11月に来た4羽の家族に執拗に追われ、とうとうその内の2羽は行方不明になってしまった。

 メールの主はこの様子を見事に捉え、翌13日朝刊の紙面を飾った。流石、プロの写真記者であると感心した。私のようにナベヅルの姿が撮れれば良いとしか思っていない者には、上の写真がどちらの家族であるか定かでない。昨年12月に1羽来て、それに出水から預かった保護鳥を1羽放鳥しているので、当日は全部で10羽いたはずであるが、私はその内の2家族8羽しか見ていない。

(2010年3月24日記) 

追記:10羽の内2羽は行方不明となり、残りの8羽は27日に史上2番目に遅く無事旅立った。(1番遅い記録は28日だそうだ。)

野鳥観察の楽しみ

単純な脳、複雑な「私」 2010年04月

縄文塾塾長 中村 忠之

縄文塾  

池谷裕二 

 明確には記憶していないが、少なくとも1年以上前から、視力が低下して老眼鏡が見えにくくなり、本欄の執筆にも支障が出始めた。眼鏡屋に行っても、もう老眼鏡ではこれ以上は無理ということで、デスクトップのPCディスプレイを大型(32インチ)にしたり、接眼型拡大鏡のお世話になったりしてお茶を濁していた。
 そのため夜読書をしなくなったところから、ついつい睡眠導入剤にお世話になっていたのだが、ごく最近、体調がよくなったせいか、ある朝(裸眼で)タイトルしか読めなかった新聞の字が、おぼろげだがなんとか読めるではないか。そこで長い間ベットの脇でほこりをかぶっていた、読みかけの本書の再読をしたのだ。
 問題は本書が面白すぎて、かえって中々寝つかれないでいる。そこで読書スピードを上げ、読書時間を伸ばして書評に取り組むことになった。お蔭で以降睡眠薬のお世話にならずに済んでいる。

 前置きがいささか長くなったが、本書は若き脳生理化学者である著者の、出身高校後輩への講義録である。
 たしか前著の書評でも述べたが、著者の本はいずれも対話型・口語体で、難解な脳科学を分かり易く記述する才能は驚嘆するばかりだ。
 著者の書評を取上げるのは、『進化しすぎた脳(2008.02)』『ゆらぐ脳(2008.08)』から3冊目だら、一種の追いかけファンみたいなものかもしれない。
 この内で著者がもっとも気に入っているという本書は、4つのチャプターで構成されているが、それを横断して特に大きなキーワードとして幾つか挙げると、
1.人の脳は、少ないゲノムをうまく使い回すことで進化した。
2.精緻のようで、結構間が抜けて曖昧な脳の働き。
3.我々の行動以前に、脳の始動は始まっている。
4.脳は行動の結果=成功/失敗などを、行動するまでにすでに予知している。
5.脳のある部分を刺激すればで、「幽体離脱」は起きる。
6.脳は身体から取り出され、薄くスライスされても栄養液の中で長期間生息し、かつ活動出来る。
7.「脳のゆらぎ=ノイズ」によって、人格、秩序、美しい創発が生まれる。
8.自分の脳で「脳」のことを考える「入れ子(リカージョン)」構造になっている。
 ざっとこのくらいが挙げられる。内容は著者自身の研究もだが、「ネイチャー(英)」「サイエンス(米)」という二大科学雑誌に掲載された脳科学の記事紹介で構成されている。
 最近DNAの研究でヒトゲノムの推定値は、わずか約2万2000個だという。だからこの非常に少ないゲノムをうまく使い回すことになるというのだ。そのため、どうしても手抜きから来る問題も起きているという。そうして進化を続けた結果、我々ヒトは「心」の働きという奇蹟を会得することになる。
 特にとても信じられないのが、3及び4の「行動より脳の始動が早い」だが、ゴルフプレイヤーが、前に入れた々条件のパットを外す場合、脳はすでにそのショットの前に、どのような具合に外れるかを知っているという、にわかには信じがたい事実を提示する。
 しかもその失敗は、脳波がアルファー波の時に起きるという。それがわかれば脳波をコントロールして、アルファー波が出ないときにパットすることも可能になるというのだ。
 さて「幽体離脱」という一見外からの刺激の結果と思える現象が、頭頂葉と後頂葉の間にある「角回(かくかい)」という部位を刺激することで惹起されるというのだ。著者によれば、他人の目で自分を観察し批判するという行為は、ある意味「幽体離脱」ではないか、ともいう。
 わずか2万あまりという乏しいヒトゲノムを最大限に活用して、類人猿とは途方もない高みに到達し、マクロでは宇宙発生の時代にまで遡及し、ミクロでは自らの構成を無限に追求するに止まらず、心(こころ)とか意識などという、形而上的、哲学的な命題にまで組み込んだ「ヒトという種」の摩訶不思議さを存分に教えてくれる一冊だと断言できる。 
 ここでいささか付言すれば、30億塩基対あるという我々のDNAから、上記ヒトゲノムを差し引いた残り(と言っても殆どだが)も、当然我々の脳の構成要因である。
 我々人の脳は、脳の基底部にあって──(俗に)爬虫類あるいはワニの脳と呼ばれる──五感や、生きる上での基礎的感情などを支配する部位=脳幹+延髄+中脳+間脳と、哺乳類あるいはウマの脳と呼ばれる大脳の各部野で構成される。
 人の脳は、特に大脳皮質の部分にあって、類人猿と比較しても特に大きな脳として発達しているというのだが、あまりに少ないヒトゲノムの数とのギャップは一体何か?
 おそらく──ヒトゲノムだけでなく、あらゆる部野の脳も含め──使い回しをスムースに行なうために、複雑に張り巡らされた脳神経細胞の過度の発達が、大きな脳を生んだのであろう。
 そうした様々な機能を生みだす脳神経細胞ニューロンの、インプット・アウトプット、そしてフィードバックという機能は、そべて電気=イオンの働きであるが、それがどのようにして精神・心などに変換されるのか、著者が、「永遠に解決しない学問」というように、一向に謎は解けないままである。
 ここで挙げたエピソードや事実は、本書のごくごく一部に過ぎないことをお断りしておく。

感銘の一冊

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